「ダイマクション大航海地図」ワークショップ
思い出のスケッチ #291
鈴鹿 美穂(東京都建築士事務所協会台東支部/川島鈴鹿建築計画)
 文部科学省では、学校の完全週5日制導入を受け「土曜学習応援団」をたち上げ、企業、団体、大学等へ参加を呼びかけました。私たちもその一員となっています。土曜日や夏休み等を利用し、学校に専門性をもった「団員」が出向く出前授業を開催し、子どもたちが社会で活躍する多くの大人に出会い、将来の夢や志をつなぐきっかけづくりを仕掛けようとしています。
 子どもたちの夏休み期間に「子ども霞ヶ関見学デー」と題し、各府省庁による職場見学や体験イベント、ワークショップが開催され、毎年たくさんの子どもたちが集まります。今夏は文科省で「土曜学習応援団」の一員として私たちもワークショップを企画、参加しました。
 私たちのワークショップは、バックミンスター・フラーの発明したダイマクション地図を通してフラーの思想にふれ、子どもたちそれぞれの思いを込めて、正二十面体のダイマクション地図を組み立てるというものでした。
 そのときまず、地球上の陸地はひとつながりだということを感じるために、子どもたちが色鉛筆で彩色したのが、この大航海時代風のダイマクション白地図です。
 子どもたちは自分の好きな色で陸地を塗りつぶしていきながら、うわっ、ほんとだ、と声を上げていました。
 ワークショップの準備をしつつ、あらためてバックミンスター・フラーは偉大な功績を残した個性的な天才だと感じました。参加した子どもたちやその保護者は、だれもバックミンスター・フラーを知りませんでした。
 ダイマクション地図、ジオデシック・ドームをはじめ、フラーの先見性と夢の大きさに、子どもたちが刺激を受け、地球と人類の未来を考えるきっかけになるワークショップをと、私たちの志も大きかったのですが、「宇宙船地球号操縦マニュアル」に寄せた彼のメッセージを、短い時間ではたしてどこまで伝えられたでしょうか。
鈴鹿 美穂(すずか・みほ)左
建築家、川島鈴鹿建築計画共同主宰、東京都建築士事務所協会台東支部
1966年 神奈川県生まれ/1989年 東京家政学院大学卒業