令和5年春の黄綬褒章受章
宮原 浩輔(東京都建築士事務所協会 前常任理事・港支部、株式会社山田守建築事務所)
黄綬褒章の章記。
褒章を左胸に章記を手に。
 このたび黄綬褒章を受章いたしました。有名建築作品があるわけでもなく、誠に身に余ることと恐縮しております。章記(証書)に記された天皇陛下の授与文には「多年建築設計監理業に従事し斯業の発展に尽力したことについて授与する」とあり、建築作品の出来について評価するというよりも、協会活動を通じて設計監理業の発展のために働いたことに対する顕彰なのでした。まさに東京都建築士事務所協会の多くの皆様のお力添えがあったこそ続けられたことであり、私ひとりだけが戴いたものではないのだと得心しました。
 昨年8月に児玉会長から「推薦するので書類を用意するように」と申しつかり、大慌てで種々の書類を作成し、何度もダメ出しをいただく過程で事務局の及川さん、横川さんの多大なるご指導・ご協力をいただきながらなんとか形にできました。おふたりをはじめ事務局の皆様にはどれほどお礼を申しても足りません。書類は東京都都市整備局⇒国土交通省住宅局⇒内閣府賞勲局と上がって行き、経歴に深い傷はなさそうだと調べが付いたのでしょう、今年の2月に内示が出ました。
 令和5(2023)年5月15日、国土交通省にて斉藤国土交通大臣から章記と褒章を伝達され、褒章をモーニングコートの左胸に着用してバスで皇居に参内し、宮殿の春秋の間で300人余りの受章者と一緒に陛下に拝謁しお言葉を賜りました。皇居に入るのはこれが2回目、新宮殿に参殿するのは初めての経験でした。
 新宮殿は吉村順三氏の基本設計(氏は実施設計の途中で辞退)、宮内庁造営部の実施設計とのことです。古代寝殿造の流れをくむ和の意匠だろうと思いますが、梁間スパン20m以上、天井高さ8m以上というスケールのSRC造建築物です。そこに身を置いて「民主主義の日本国天皇の儀式の場として求められる空間・意匠はこれか!」とじっくり鑑賞できたのは得難い経験で、建築家としては褒章をいただいたことと同じくらい嬉しく思っています。改めて協会の皆様に厚く御礼申し上げます。
宮原 浩輔(みやはら・こうすけ)
東京都建築士事務所協会港支部、株式会社山田守建築事務所
1956年鹿児島県生まれ/1981年東京工業大学建築学科卒業後、株式会社山田守建築事務所入社/現在、同代表取締役社長
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