テクノロジー+ 第11回
不同沈下に対する地盤検査保証
朝倉 浩樹(東京都建築士事務所協会賛助会員、株式会社リガーレ代表取締役)
不同沈下で損害賠償請求
 不同沈下で3,828万円の賠償請求が発生しました。
 そのことについてお伝えしていき、またどうすればこうしたリスクを回避することができるかについてお伝えして参りますが、その前に、私の自己紹介をさせてください。
 もともと私は、地盤調査の現場作業員でした。それから地盤改良工事の現場作業員を経験し、その後営業へ転身しました。当初は戸建住宅が中心でしたが、徐々にマンションや大型建物の地盤補強工事の仕事も受注できるようになりました。
 私たちは真面目に仕事をしてきましたが、どうも見積が他社に負けてしまうことが多く、ある時、お客さんに地盤改良の見積に事後試験の全長コアボーリング試験の項目は入っていますか? と聞きました。
 すると、「いえ、入っていないです」とお客さん。私が競っていた地盤工事会社は、本来建築センターの指針により決められている地盤補強工事の品質管理試験を、意図的もしくは知らずに項目から抜かして、見積を安くしていることに気がつきました。
 このように見積を意図的に(あるいは営業マンが素人のため知らずに)安くすると、本来の安全のチェックを行うことができないので、結果として不同沈下が発生した場合、根拠資料がないので欠陥住宅として訴えられる可能性があります。その際、指針違反であることを指摘されると非常に弱い立場に立たされ、高額な賠償金を請求される危険性があります。
 地盤の事故で、下記のような3,828万円の損害賠償責任が発生しているというケースがあります。
平成20(2008)年6月11日、和歌山地方裁判所の判決
 軟弱地盤にベタ基礎にて建築された住宅が不同沈下し、取り壊して再築する額に相当する損害賠償が認められた事例。平成7(1995)年5月の建物の引き渡しから6カ月後、不具合が発生。平成12(2000)年秋頃、地盤が不同沈下していることが判明し、基礎立ち上がりや基礎底盤に、ほぼ全域にわたってクラックが発生し、最大傾斜1,000分の7の不同沈下が認められた。
【判決の要旨】
 建築基準法施行令 第38条1項により、本件建物の基礎構造には、法令に違反する欠陥があると判決が下された。
【建築士A】
 上記法令違反及び建築基準法令適合建物を提供する義務を怠ったことによる不法行為責任を負う。
【住宅建設会社B】
 瑕疵補修に代わる損害賠償義務を負う。不法行為責任を負うAの使用者として民法715条1項の使用者責任をも負う。
【代表取締役C】
 忠実義務を負っているため、Bの法令遵守義務違反に対し重大な職務懈怠があり、会社法429条に基づく第3者に対する損害賠償責任として、民法709条の不法行為責任も負う。
【損害の発生および額】
 本件建物の構造耐力上の安全を回復するには、建物解体後適切な地盤補強工事を施工した上で再築するほかなく、
建物の再築費用(地盤の修復含む):3,038万円
代替建物レンタル費用:130万円
引っ越し費用:30万円
慰謝料:100万円
調査鑑定費用:150万円
登記費用:30万円
弁護士費用:350万円
合計:3,828万円を相当因果関係のある損害と認められる。
表1 床の傾斜角と健康障害
日本建築学会 住まい・まちづくり支援建築会議 情報事業部会
復旧・復興支援WG「液状化被害の基礎知識」より
http://news-sv.aij.or.jp/shien/s2/ekijouka/health/index.html
不同沈下の健康被害
 また、不同沈下が発生することで、めまいがしたり、健康被害にあうことがデータで証明されています。
 傾いた家で生活を続けることで、深刻な健康障害を引き起こすことがあります。たとえば、めまいや吐き気、頭痛などの症状が出た場合は要注意です。三半規管に障害が発生している可能性もあり得るでしょう。また、家の傾きは自律神経のバランスにも悪影響を及ぼし、不眠や食欲不振などの体調不良とも大きく関係しています。
 家の傾斜角度が大きくなるにつれて、人の感じ方はどのように変化するのでしょうか。以下では、傾斜角度別に、人がどのように感じるのかを表①に示します。
 傾斜角度1/1,000とは1mにつき1mm傾いている状態のことです。
 人間はわずかな傾きであっても違和感を覚えるようです。
 傾斜角度が10/1,000(0.57°)を超えると、健康障害を引き起こす可能性が高まります。
 なお、傾いた家での生活に慣れてしまい、違和感を覚えなくなった場合は、無意識に体にダメージを与えている状態です。傾いた家の中で問題なく生活できていても、外出して水平な場所に立った際に、めまいを感じてしまうことがあります。健康被害が進行している場合は、たとえ今は我慢できる傾きであっても、できるだけ早めに沈下修正工事などの地盤沈下対策を考えなければなりません。
 つまり、御社が建てたり設計した家やマンションが、住居者様の健康を害する住宅やマンションになるリスクがあるということです。
アースジオ(中高層地盤検査保証システム)
不同沈下に対する地盤検査保証
 私は現場で不同沈下をおこした事例を15年間で30件以上も見てきました。つまりほとんどのケースにおいて、こうしたリスクの高い工事が「知らなかった」という理由でまかり通っているのです。しかし、人命を扱うものですから、知らないでは済まされません。この状況をなんとかしたいと思い、地盤検査補償を中高層建築物にも対応できる第三者機関である地盤検査補償会社を立ち上げました。
 こちらによって、しっかりと地盤改良工事を検査し、検査後は、その後の不同沈下による被害が起こっても1事故3億円まで補償されます。
 検査をすることで賠償金額といったリスクを回避することはもちろんですが、何よりも居住する方の未来を補償することにもなります。そして私ども株式会社リガーレでは、上記品質を確保した上でさまざまな地盤条件や現場条件を考慮し、最安値な地盤補強工事の工法を選定しています。
 しかも、私どもは複数業者に御社のかわりに見積もりを出してベストな価格を提示させていただきますので、業者選びのお時間やお手間を節約していただくことすら可能です。
 もしあなたが知らずに欠陥住宅として住宅やマンションを市場に出してしまい大きなリスクを抱えられることなく、3億円の補償が付いた状態で減額することに興味がありましたら、ご相談いただければ幸いです。
tel. 080-9650-3201 E-mail:ha@ligare-earth.com
朝倉 浩樹(あさくら・ひろき)
築士事務所協会賛助会員、株式会社リガーレ代表取締役
1979年 愛知県生まれ/現在は東京に在住関東エリアと中部エリアで活動/地盤調査・地盤補強工事会社で現場から経験し12年勤める/工務店からスーパーゼネコンまで新規取引先の開拓を得意とし東京と名古屋の新規営業所を4年で立ち上げ、36歳で起業/中高層地盤検査保証システム(アースジオ)で、住宅ではあたり前になった地盤保証をマンション等の一般建築物にも普及して地盤補強工事のチェック機能がない部分を補い、施工品質を守るために独立。地盤調査・地盤改良工事のコスト削減提案を5年で800物件の相談実績あり。