第53回第⼀ブロック協議会
第1ブロック|令和元(2019)年8⽉28⽇(水)@ホテルグランドパレス
古田 秀行(東京都建築士事務所協会千代田支部編集委員、株式会社エノア総合計画事務所)
講演するデービッド・アトキンソン先生。
脇宗⼀郎千代⽥⽀部⽀部⻑の挨拶。
⽯川雅⼰千代⽥区⻑の挨拶。
丸川珠代参議院議員の挨拶。
会場風景。(撮影:筆者)
 令和元(2019)年8⽉28⽇、ホテルグランドパレス、ダイヤモンドルームにて、東京都建築⼠事務所協会第1ブロック協議会が開催され、今回は千代⽥⽀部が幹事⽀部を務めた。
デービッド・アトキンソン講演
 第1部は「観光産業の可能性と課題」と題した講演会。講師にデービッド・アトキンソン先⽣をお招きした。先⽣はイギリス出⾝で、オックスフオード⼤学で⽇本学を専攻された。元ゴールドマンサックス証券会社の⾦融調査室⻑の経歴をお持ちで、⽇本における⼤⼿銀⾏の不良債権問題をいち早く指摘し、それが銀⾏再編の契機となった。現在は株式会社⼩⻄美術⼯藝社の代表取締役社⻑で、奈良県⽴⼤学客員教授も務められる傍ら、『新・観光⽴国論』(2015年、東洋経済新報社刊)ほか数多くの著書を執筆。その他各地の観光振興のため奔走、数多くの有識者会議委員、アドバイザー、顧問を務めながら、関係⾏政への提⾔、各種メディアを通じた情報発信にも精⼒的に取り組まれている。
外国⼈をターゲットとした観光⽴国を
 今回の講演会の内容は、⽇本の観光産業のビジョンを中⼼としたものだったが、そのテーマの背景にあるのが、⽇本の⽣産年齢⼈⼝が今後40年間で約3,000万⼈以上減少することへの危機感がある。この⼈⼝減少を⾷い⽌めるのはまず不可能と思われ、⽐例してGDP減少、経済縮⼩が加速し、国家の存亡にかかわってくる。それを補う重要な⼿⽴てとして、⽇本は外国⼈をターゲットとした観光⽴国を⽬指すことが重要であると提⾔されている。
 具体的な数字として全世界のGDPに占める観光産業の割合は約10%、また観光輸出の総計は約1.4兆ドルで世界総輸出の約7%を占め、世界観光客数は2017年時点で約13.2憶⼈にのぼるという。⽇本も2017年段階で観光収⼊が約340憶ドル、世界第10位となったが、今後さらに観光収⼊を増やしていくことが求められている。
 ⽇本は観光地として「⾃然」、「気候」、「⽂化」、「⾷事」の4⼤条件を満たす稀有な国で、特に「⾃然」とその「多様性」に特徴がある。こうした観光資源をいかにアクティビティ(収⼊)に結びつけるかについて、外国⼈観光客の⽬線から、解説案内の⼯夫、座る場所、カフェ、⾷事、宿泊という切り⼝で具体例をもとに解説いただいた。
 今年(2019年)の⽇本の外国⼈観光客数は約3,200万⼈強が予想されているが、「よいものをより安く」から発想を転換して、「よいものをより⾼く」という視点に⽴ち、観光収⼊のさらなる増加を⽬指すことが必要であること、また観光収⼊は5つ星ホテル数と相関関係があり、⽇本は28軒とたいへん少なく、富裕層を取り込むべく⼤幅に増加させる必要があるとのことを⼒説された。質疑応答にも丁寧に対応いただき、講演時間を15分ほどオーバーするたいへん内容の濃い講演会であった。
第2部懇親会
 第2部の懇親会も200名を超える参加者で⼤盛況であった。脇宗⼀郎千代⽥⽀部⽀部⻑の挨拶をはじめとして、来賓のご挨拶があり、⽯川雅⼰千代⽥区⻑、丸川珠代参議院議員、永池雅人東京都建築⼠事務所協会副会⻑からご挨拶いただいた。富樫亮同副会⻑の発声による乾杯後懇親会に⼊り、その後中央、港、新宿、千代⽥区の各区から建築⾏政に係る区役所の皆様の挨拶をいただき、次回の協議会幹事⽀部となる加藤義道中央⽀部⽀部⻑より、次回の協議会の成功に向けての決意表明が⾏われた。最後に宮原浩輔東京都建築⼠事務所協会常任理事の中締めをもって無事閉幕となった。
古田 秀行(ふるた・ひでゆき)
株式会社エノア総合計画事務所取締役 計画設計第一部長、東京都建築士事務所協会千代田支部編集委員
1957年 東京生まれ/1979年 日本大学生産工学部建築工学科卒業/株式会社間組建築設計部を経て、2003年 株式会社エノア総合計画事務所入社、現在に至る