東京建築設計関連事務所協会協議会(TARC)発足
田口 吉則(東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員会委員長、江戸川支部副支部長、株式会社チーム建築設計)
 令和元(2019)年7月10日、「東京建築設計関連事務所協会協議会」(通称TARC)が発足。
 会員が抱える諸問題を協議し、建築設計分野の発展に繋げていくことを目的に、(⼀社)東京都建築士事務所協会(TAAF)、(⼀社)東京構造設計事務所協会(ASDO)、(⼀社)東京都設備設計事務所協会(MET)、(⼀社)日本建築積算事務所協会関東支部(JAQS)の4団体が参加して設立した。
各団体代表者と後列に委員。代表者(着席)は左より、児玉 耕二(⼀社)東京都建築士事務所協会会長。山内 哲理(⼀社)東京構造設計事務所協会会長。武井 一義(⼀社)東京都設備設計事務所協会会長。高倉 東(⼀社)日本建築積算事務所協会関東支部支部長。
 「東京建築設計関連事務所協会協議会」は、今後3カ月に1度程度の協議会開催を予定している。それに先立ち7月23日、明治記念館「末広の間」において、4団体の代表者が記者会見した。
 最初に事務局から本協議会の参加団体である(⼀社)東京構造設計事務所協会の山内哲理会長、(⼀社)東京都設備設計事務所協会の武井一義会長、(⼀社)日本建築積算事務所協会関東支部の高倉東支部長、(⼀社)東京都建築士事務所協会の児玉耕二会長が紹介された。
 次に加藤昇副会長より本協議会の発足の経緯について以下の説明があった。
 「これまで副会長として就任して9年、建築関連団体の多くの懇談会やセミナーに参加し、さまざまな意見を拝聴してきた。そして若い人の建築離れ、働き方改革の取り組み、後継者問題など多くの共通する課題をそれぞれの団体が取り組んでいることを知った。3年前ほどから、これらの共通する課題を話し合えないかと構想を練っていたが、今年に入ってお声掛けしたところ賛同をいただき、3月に準備会を立上げ、7月10日に第1回目の協議会を開催することができた。今後、定期的に開催していくので皆様方のご協力をよろしくお願いいたします」。
 その後、各事務所協会から選出された委員の自己紹介後、各団体の代表者が挨拶を述べた。
各団体代表者の挨拶
  • 児玉 耕二(⼀社)東京都建築士事務所協会会長

     一般の方々には、意匠、構造、設備、積算の区分は理解いただいていない。建築全般ということで、この協議会を通じて建築業務をアピールしていきたい。また多様化する社会ニーズや建築技術の高度に伴う専門分化する中で、それらを統合化する役割を担いたい。
     それらを踏まえ、まずは第1歩として「情報交換、意見交換」だが、この協議会を進めていくうちにわれわれの目指していることが明確になり、次のステップの手掛かりとなると思う。

  • 山内 哲理(⼀社)東京構造設計事務所協会会長

     本協議会の発足によって各協会が同じプラットフォームに立つということで、より幅の広い知識・経験を生かすことができるようになる。今後、協力し合って、いままで以上に社会のニーズに応えて、建築物の安全・安心の確保に貢献していくことに全力で努めていきたい。

  • 武井 一義(⼀社)東京都設備設計事務所協会会長

     当協議会の名のもとに協力できる場ができた。日々の業務の円滑化、現場環境の改善、生産性の向上、働き方改革の推進に一端を担えるのではないかと思う。それらが順調にいけば魅力ある職場になり、技術者不足、後継者不足が解決するだろうと大いに期待し、またそれを願っている。

  • 高倉 東(⼀社)日本建築積算事務所協会関東支部支部長

     積算の業務に40年ほど携わってきたが、計算手段はそろばん、電卓、パソコンと移行して、近年BIMが出てきた。これは積算業界において脅威を感じている。今後、意匠・構造・設備はBIM使用に移行していくことは必然である。その中でわれわれはどう対応していくか、この協議会で力をお借りして、何とか頑張っていきたい。建築のコストは今後も重要な課題だ。それを担うものとして精一杯やっていきたい。

記者会見。
記者質問
 記者からの質問に児玉会長が回答した。
Q:当面、扱っていくテーマは?
A:いままでそれぞれ単独で検討してきた人材確保の問題、建築士法の改正など行政施策に対する要望、BIMの取扱いなどを4団体の課題としてまずは重点的に取り掛かっていきたい。
Q:最優先の課題と目標は?
A:BIMや行政要望の問題は差し迫った問題だ。リアリティを持って協議できるのではと思っている。それにいつまでに答えを出すといった目標はいまのところ掲げていない。
Q:現在は4団体だが他の団体が加わる予定はあるか?
A:いまのところないが、内容によって他団体を交えて協議することも構わないと思っている。建築設計界をもっと発展させるのには何がよいのか垣根を越えて考えていきたい。
Q:建築士事務所協会では働き方改革やマネジメント支援に取り組んでいるが4団体でも一緒にやっていくことも考えているのか?
A:それぞれの団体に加入している会員は大きな設計事務所とは限らない。積極的にマネジメントや事業継承の支援をしていきたい。

 最後に参加団体の委員の方々と一緒に記念写真を撮って終了した。その後会場を移しての懇親会では、児玉会長の挨拶の後、高倉支部長の乾杯の挨拶があり、武井会長の中締めの後、山内会長の閉会の挨拶でお開きとなった。会談中はテーブルごとに建築の諸問題の話題で大いに盛り上がり、すでに活動が始まっていることを感じさせた。
懇親会。
【東京建築設計関連事務所協会協議会委員】
(⼀社)東京構造設計事務所協会:大沼 彰裕、亀嶋 幸輔、赤坂 憲一、宮崎 州
(⼀社)東京都設備設計事務所協会:千田 信義、藤原 孝行、田中 清久
(⼀社)日本建築積算事務所協会関東支部:本美 和樹、東田 和義、菅谷 幸司
(⼀社)東京都建築士事務所協会:加藤 昇、臼井 勝之、大村 吉美
田口 吉則(たぐち・よしのり)
東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員長、江戸川支部副支部長
1953年東京生まれ/(株)チーム建築設計代表取締役
タグ:TARC