令和5年 新春賀詞交歓会開催
令和5(2023)年1月30日@明治記念館
小山 充男(東京都建築士事務所協会会誌専門委員会・北部支部、建築工房 上二 一級建築士事務所)
 3年ぶりの開催となった新春賀詞交歓会が東京・明治神宮外苑の一角、明治記念館「蓬莱の間」にて開催された。バイオリン、ビオラが奏でる旋律の中、来賓、正会員、賛助会員、計219名が出席し、永池雅人副会長の開会の挨拶から始まった。
挨拶する児玉会長。背後に副会長。
児玉耕二会長挨拶(要約)
 3年ぶりの対面での賀詞交歓会の開催を喜ばしく思う。コロナ感染症は収束に向かわないが感染対策をしながらも次第に社会経済活動が活発化しているように感じる。
 東京会は昨年9月の建築ふれあいフェアの開催や、対面による会員同士の交流を秋ごろより進めてきた。日事連では3年ぶりに全国大会を熊本で開くことができた。アフターコロナへ向かって進んでいく転換期の今、中・長期的な考えに立って足元を固め、歩み出したい。協会や建築事務所は今後どのように歩んでいくのか、東京会は総務財務委員会を中心として今後のビジョンを議論している。
 また、今後の課題のひとつとしてカーボンニュートラルがある。これは大きな課題であり簡単に達成できない。日ごろから地道に前進していかなければ達成はない。そういう意味でZEB・ZEHや、もっと大きな全体につながることまで、あらゆることに積極的に取り組みたい。一般市民に対して、住宅や共同住宅の建て替え等について、省エネ問題、再生エネルギーなどの質問、相談に対応できるような相談センターの設置を検討し準備しているところである。
 また、もうひとつの課題はデジタル化である。デジタル化もコロナ禍の中で急速に進歩した。業務環境や、やり方が変わり、新しい体制でやらなければならない。業務のやり方だけではなく、その先の業界内のネットワークや、その他の社会とのネットワークも変わってくると思う。このようにわれわれの仕事は、建築事務所の内側は業務改革、外側へ向かっては業務開拓と、いろいろな改革が必要だと感じている。
 昨年、日事連は60周年記念事業を行なった。その中で10年先、われわれはどのような道を進むべきか議論させていただいた。記念シンポジウムでは「次世代を生きる」というテーマで議論し、座談会では建築事務所の経営、BIMの推進、自然災害の対応、事業承継などの数々の問題を議論した。今年3月に、その記念誌を刊行することになっている。会員の皆様へ配布する予定であり、未来へ向けたヒントをその中から掴み取っていただき、自らの建築設計事務所をもっと安定させていただき、業界の発展にもっとご協力いただきたいと思っている。これらの施策は皆さんのご理解とご支援が不可欠である。今後とも積極的な協力をお願いしたい。
髙島なおき自由民主党東京都支部連合会幹事長
三宅正彦東京都議会自由民主党幹事長
丸川珠代参議院議員、東京都建築士事務所協会顧問
東村邦浩都議会公明党幹事長
たきぐち学都民ファーストの会東京都議団幹事長
左より、東京都都市整備局市街地建築部の青木成昭耐震化推進担当部長、鈴木誠調整課長、栗原聰夫建築企画課長
関係団体来賓の紹介
来賓挨拶(要約・抜粋)
髙島なおき自由民主党東京都支部連合会幹事長
 東京の再開発が多く行われ、需給バランスが崩れるのではないかと心配をしている。しかし国際都市としての東京、そして世界に誇れる東京の建設は皆様方の双肩にかかっている。これからも変わらぬご支援とご協力を心からお願いする。
三宅正彦東京都議会自由民主党幹事長
 今年は東京都耐震改修促進計画の改定が3月に予定されている。川松真一朗議員が去年の第3回定例会にて2000年以前に建築された新耐震基準の木造住宅について質問した。その中で引き続き耐震化の支援をするという話があった。グレーゾーンの建物についても耐震化を進めていきたい。皆様方と色々と議論しながら、これからの都政、そして都市創りに尽力したい。
丸川珠代参議院議員、東京都建築士事務所協会顧問
 コロナ禍あるいはウクライナ侵攻によるさまざまな原材料高、エネルギー価格高、こうした状況の中でも歩みを止めることなく、東京の街づくりに、それぞれの地域で貢献をいただいていることに、児玉会長をはじめ会員の皆様方には心から敬意と感謝を表したい。
 今回の補正予算で、建築BIMの導入について、導入支援金という形で補助金の用意をさせていただいた。ぜひデジタルの一歩を踏み出していただきたいと思う。街をつくり、人びとの未来を開いていく建築という仕事へ、若い皆さんに脚を踏み入れていただきたい。それに値する新しい未来が東京にはあるという思いである。
 これからますます地域の課題が千差万別に分かれてくる。東京はまだ多くの再開発を抱え、そして高齢化が進む中でも、活力がある街づくりのために社会の課題を解決する建築物をつくっていかなければならない。グリーン化についても、皆様に担っていただかなければ2025年の新基準適合は進まない。建築士事務所協会の皆様にお力添えをいただいて、ともに明るい未来を、この2023年を、スタートとしたい。
東村邦浩都議会公明党幹事長
 東京は再開発が目白押しで、そして病院や福祉などのいろいろな建て替えも行われる。しかし皆様から、せっかく入札しようと思ったけど価格がまったく合わなかったといわれた。その結果、多くの皆さんが辞退され入札も成立しなかったという現場が出始めている。最大の原因は資材の高騰している中で採算が合わず、入札できない厳しい状況がある。皆さんの声を聞いて適正な価格で応札していただけるように努力したい。
 平成12(2000)年以前の新耐震基準(1981年基準)の木造住宅のうち、耐震性の低い木造住宅が約20万戸あるという。東京都ではこれを解決したいということで、公明党も自民党と一緒にこの問題を代表質問で取り上げて、東京都に補助の制度をつくっていただいた。国が1/5、東京都が1/5、区市町村が1/5、合計で3/5だが、区市町村がお金を出さなければできない。しかし市や区が実行しなくても都が実行する。それによってこの耐震の目標をしっかり達成していく。このような流れをつくっていきたいと思う。
たきぐち学都民ファーストの会東京都議団幹事長
 大きな震災からどうやって都民の命を守るのかが東京都にとって最大の課題のひとつである。地元の荒川区は東京都の総合危険度ランキングの1位と2位を抱える地域である。この中で木造密集地域の耐震化を進めることが大きな課題のひとつである。グレーゾーンの住宅について、昨年の第3回定例会にて代表質問で取り上げ、そして新年度予算において、この診断・設計改修に補助が出るということが示された。児玉会長のカーボンニュートラルの話の中で環境に優しい住宅の話があった。コロナ禍の3年間で、テレワークが増え、自宅で過ごす方が増えた。家に関する関心が高まり、リフォーム市場も伸びているというデータもある。環境に優しく、地震・災害に強い家をつくっていくために先生方からのお力添えをいただきたい。

 その後、日ごろからご指導をいただいている東京都都市整備局市街地建築部の青木成昭耐震化推進担当部長、鈴木誠調整課長、栗原聰夫建築企画課長が紹介された。
白井勇日事連副会長・神奈川県建築士事務所協会会長の乾杯
塚本達二相談役の音頭による中締め
乾杯、懇親会、中締め、閉会
 白井勇一般社団法人日本建築士事務所協会連合会副会長、一般社団法人神奈川県建築士事務所協会会長の乾杯の発声で、懇親会となった。
 3年ぶりの対面での開催ということもあり、出席された方々の話は尽きることなく交流を深めていた。その中で新年の抱負や目標を何名かの支部長や賛助会の方々にうかがうことができた。
・コロナ禍で動きが止まったイベントや研修などの支部活動を活発化させたい。(吉田潤港支部長)
・支部活動がリアルで動き出したので活発に行ない、勉強会や見学会を定期的に継続したい。また第1ブロックの他の支部と交流会を行ないたい。(脇宗一郎千代田支部長)
・コロナ禍で滞っていた行事を再開させ、隔年で行なっていた4ブロックの研修旅行を復活させたい。(水野久志板橋支部長)
・今年は関東大震災から100年であり、グレーゾーンの話も具体的になってきたので、積極的に事務所協会を頼ってもらえるようにアピールしたい。(渡辺猛荒川支部長)
・コロナで停滞していた正会員向けの技術研修会と区民向けの勉強会や相談会を企画したい。(佐賀井尚世田谷支部長)
・2000年問題が叫ばれているが、墨田区の北部地域は震災も戦災も免れた家が多いので新耐震以前の建物が未だ多く残っていて、耐震化が進んでいない。戸別訪問など積極的に関わりたい。(中平守墨田支部長)
・賛助会員を増やし、正会員の皆様と接する機会をつくって、賛助会をアピールしたい。(今美菜子賛助会幹事会副代表)
 その他にもアフターコロナへの期待の声が多く聞かれた。
 その後、塚本達二相談役の音頭で中締めを行ない、名残惜しむ中、閉会となった。
小山 充男(こやま・みつお)
東京都建築士事務所協会北部支部、建築工房 上二 一級建築士事務所
1967年長野県松本市生まれ/武蔵野美術大学建築学科卒業
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