働き方改革を考える 第12回
柔軟に対応のできる設計事務所を目指して──これからの働き方、IAO竹田設計東京事務所の場合
太田 宏正(東京都建築士事務所協会青年部会・働き方改革推進ワーキンググループ委員、株式会社IAO竹田設計 東京事務所)
社内風景(撮影:筆者)
 私が勤めている会社(IAO竹田設計東京事務所)の最近の働き方についてレポートする。
 弊社は1976年に設立し、建築を通した文化の向上と社会の発展を目指し、快適な生活空間づくりを目指してきた。また社名に込められた国際性:Internationality、環境との調和:Accordance、独創性:Originalityを軸に建築設計を通して、社会貢献を目指している。
 本社は大阪であるが、勤務先である東京事務所では約100名(男性約80名、女性約20名)のスタッフが働いている。
コロナ禍での働き方
 今年(令和2/2020年)の春先、新型コロナウイルスの猛威が始まった。弊社では「社員およびその家族の感染を防止」という前提のもと、3月末より在宅勤務の環境が整った。完全に全スタッフが在宅勤務ということではなく、まずはそれが可能なスタッフからというスタートであった。図面を描くことや、案を練ること、議事録作成などの通常業務を在宅でこなすことには、最初は戸惑い等があったものの、スムーズに在宅勤務に移行することができた。ある程度のルールを決め、スタッフひとりひとりが倫理観を持って臨んでいた。チーム内でのスタッフ同士で、コミュニケーションが取りにくいこともあったが、これも徐々に順応していった。また、最近では通勤時間等を考慮し、完全にフレックスの勤務体制になった。コアタイムを設けることなく、柔軟に対応している。
 半年が経過した今は、時間や場所に縛られることなく業務が行えるようになっている。
女性スタッフの働き方
 子育てをしながらの在宅勤務や時短勤務を採用している女性スタッフもいる。個人のパソコンから会社のパソコンにリモート接続が可能になり、在宅での勤務が可能になったことが大きい。通常勤務に比べ、本人だけでなくお子さんの負担も軽減されているようだ。また、お子さんが風邪で休んだ時や、お昼寝中や遊んでいる間、また夜に寝た後など、いつでも会社のPCにアクセスできるので、柔軟に仕事をこなすことができているようだ。お客さんとの打ち合わせも、在宅リモートで会議に参加している。
 今後、育休をとる男性スタッフも増えていくと思われるなか、上手に活用し、各々の生活スタイルにあった働き方を実現していきたい。

ある女性スタッフの1日のタイムスケジュール(例)
※子供との時間が平日はほぼ取れないので、お風呂のときなどにコミュニケーションをとる。
柔軟に対応できる会社を目指して
3年程前よりBIMを導入し、若手スタッフだけでなく中堅のスタッフにも普及している。手描きからCAD、そしてBIMという変化とともに、表現ツールにも変化が求められ、新たなツールによって、よりスピーディに、より正確にお客さんとの合意形成を図れるようになっている。
また、社内の会議にも変化が起きてきている。プロジェクトの進行を確認する会議やデザインレビューといった会議でもWeb経由の参加が増え、ペーパーレス化による資料の情報共有が進んで、時間や場所に関係なくコミュニケーションが行える環境になっている。
今後、いろいろな事態が収束に向かっていく時に、変化に柔軟に対応できるユニークな設計事務所であることをスタッフ一同で目指している。
太田 宏正(おおた・ひろまさ)
東京都建築士事務所協会青年部会、千代田支部、株式会社IAO竹田設計
1980年 千葉生まれ/2003年 山口大学工学部感性デザイン工学科卒業/2013年 IAO竹田設計入社/現在、同社東京第二事務所室長