第20回建築ふれあいフェア開催
小田 惠介(東京都建築士事務所協会 建築ふれあいフェア担当理事、株式会社G建築総合研究所)
野瀬 有紀子、房前 寿明、倉部 広大、田口 吉則、小山 充男、飛田 早苗、早川 佳孝、大平 孝至(会誌・HP専門委員会)
スタンプラリーのカード。昨年初めて企画して子どもたちに人気だった。*
東京都農林水産振興財団による「立体パネル、ヒノキコースターに挑戦」。*
東京構造設計事務所協会の「建築検定アプリを登録してハウス型貯金箱をつくろう」。*
歴史ある第20回、さらに都民との交流の場に
 建築ふれあいフェアは今年、第20回を迎えました。当協会の恒例行事として年々都民のみなさまにも親しまれています。昨年初めて企画した子どもたちに人気だったスタンプラリーは、さらに充実させて人気を集めました。また今年は新たなイベントとして、東京都農林水産振興財団の「東京の木・多摩産材」のPRコーナーや、東京構造設計事務所協会のスマホを利用しての「建築検定アプリを登録してハウス型貯金箱をつくろう」が加わりました。子どもたちが多摩産材の木を利用したコースターづくりや、お気に入りの貯金箱をつくったりと、新たな人気スポットが誕生しました。「けんちくワンダーランド」、「折り紙建築を作ろう!」、「子供村」、「手のひらにのる小さな街」、「KAPLA®」等、恒例のコーナーも親子連れで賑わいました。子どもたちがそれぞれ真剣に建築や街にかかわるものづくりに熱中している姿は、とてもほほえましく、建築界の未来に希望が持てる光景でした。この子どもたちの中から建築界の将来を担う人材がひとりでも多く育つことを願ってやみません。また建築相談コーナーも多くの都民が相談に訪れ、各支部や賛助会員のコーナーもさまざまな工夫が凝らされ盛況でした。
 今年も新宿駅西口広場では、多くの都民のみなさまと当会員が一体となって温かい交流ができました。これも参加いただいた子どもたち、都民のみなさま、そして東京都建築士事務所協会の会員のみなさまのおかげであり、感謝申し上げます。そして、共催いただいた新宿区のみなさま、フェアを1年間かけて準備いただきました各委員、事務局のみなさまに改めて感謝申し上げます。
 建築ふれあいフェアがこれまで以上に都民のみなさまの間に根付き、東京都建築士事務所協会の伝統行事として、ますます盛会となり次世代に受け継がれていくことを願っています。(小田 惠介)
9月21日(土)
建築ふれあいフェアのスタートを告げる東京都立美原高等学校和太鼓部の皆さんの和太鼓演奏。
戸張毅委員長の第20回建築ふれあいフェア開会宣言の後、くす玉が割られて3日間のフェアが幕を開けた。
児童画展の各賞入賞者記念撮影。
板橋区志村第一小学校の生徒の皆さんから応募のあった75作品の展示。
セミナー「東京2020大会とユニバーサルなまちづくり」講師の高橋儀平先生。TV番組「世界一受けたい授業」にも出演されたことのある人気の先生。
新宿区セミナー「ユニバーサルデザインまちづくりについて」を講演した新宿区都市計画部都市計画課の山近資成さん(右)と、足達健司さん(左)。
同じく「新宿駅東西自由通路整備について」を講演した新宿駅周辺整備担当部 新宿駅周辺基盤整備担当課の針谷龍史さん(右)と、「新宿グランドターミナルについて」を講演した同課の三浦大和さん(左)。
東洋大学白山キャンパスのアカペラサークルhumの皆さん。大学4年生5名の男女混合ユニット。
和太鼓演奏
 新宿西口広場に、東京都立美原高等学校和太鼓部の皆さんの演奏による和太鼓の音が響き渡り今年で20回目を迎える建築ふれあいフェアはスタートした。15名の若くて力強い太鼓の響きは、われわれの身体をも目覚めさせてくれた。美原高校の代表曲という「煌(きらめき)」と「華鳥風月」の2曲。外国人観光客も足を止めて聴き入ってくれていた。 (野瀬 有紀子)
オープニングセレモニー
 谷内加寿子東京都都市整備局 市街地建築部 建築企画課長と、小俣旬新宿区都市計画部 建築指導課長をお迎えし、オープニングセレモニーはスタートした。
 「ひとことでも、ふたことでも話をしてもらって、建築にふれあってもらえれば、それでいいのです」と児玉耕二東京都建築士事務所協会会長。
 「新宿区と東京都建築士事務所協会が共催で建築ふれあいフェアを行うようになり今年で15回目。今日は建築の世界に親しんでほしい」と、小俣課長が吉住健一新宿区長の祝辞を代読。
 「本フェアが、東京都がめざすより安全で安心な美しい街づくりを考えるきっかけになればよいと思います。オリンピック、パラリンピック2020大会をきっかけに、東京が持続的に安心して暮らせる都市となればよいと考えています」と谷内課長。
 戸張毅委員長より開会宣言がなされ、くす玉が割られて、3日間の建築ふれあいフェアは幕を開けた。(野瀬 有紀子)
児童画コンテスト表彰式
 板橋区志村第一小学校の生徒の皆さんから応募のあった75作品の中から、会長賞「教室をつなぐ、大切な道」宮澤真帆さん、新宿区長賞「刻まれた思い出の数」小森悠愛さん、委員長賞「時がゆったりと流れる図書室」金子悠里さん、金賞「満員校舎」大脇優雅さん、未来賞「育みの土と桜」亀田蒼太さん、建築賞「90歳の階段」岩井優空さん、アイデア賞「大切に使われている図工室」西田枢玖さん、ねがい賞「たたきたかったなぁ。」森合理乙さん、思い出賞「忘れられない1年1組」古川甲斐さん、はじまり賞「いつもの下駄箱」黒㟢颯代さん、グラフィック賞「おちつく世界」川上帆夏さん、以上11名が表彰され、作品はふれあいフェア開催期間中、会場内に展示された。建築賞「90歳の階段」は視点が面白い。アイデア賞「大切に使われている図工室」は、図工室の雰囲気、様子がよくわかる。(野瀬 有紀子)
セミナー「東京2020大会とユニバーサルなまちづくり」
 講師は東洋大学名誉教授、高橋儀平先生。TV番組「世界一受けたい授業」にも出演されたことのある人気の先生によるセミナー。
 「2020大会に向けて、国内ではバリアフリー法、東京都の福祉のまちづくり条例基準を基に急速に進んだユニバーサルデザイン。そして、国際パラリンピック委員会(IPC)のガイドラインに基づいて、大会関連施設の新築や既存施設の改修が進んでいる。特に新国立競技場は、世界最高のユニバーサルデザインで設計されている。基本設計、実施設計、施工段階で、障害者団体、子育て、高齢者団体等に参加してもらい21回のワークショップが開催された。まず、何よりも障害者等の意見を聞く、意見を述べる機会を設けること。そんなプロセスが大切である。客席、サイン、トイレ、視覚障害者誘導用ブロック等のモックアップ検証も行った。男女共用トイレ(トランスジェンダー用)、カームダウン室、クールダウン室等も設計している。ぜひ見てほしい」。
 「2020大会が終わったその後、このユニバーサルデザインが東京に、日本に根付くかが問題である。大会施設の設計に関わった設計者等がこの経験を活かし、2020年以降のレガシーとしてどこまで達成できるかに期待したい」。約1時間のたいへん興味深い貴重な講演であった。(野瀬 有紀子)
新宿区セミナー「ユニバーサルデザインまちづくりについて/新宿駅東西自由通路整備と新宿グランドターミナルについて」
 まず「ユニバーサルデザインまちづくりについて」と題して、新宿区都市計画部都市計画課の山近資成さん、足達健司さんより新宿区の取り組みについての講演があった。
 新宿区はこれまで、区民参加型ワークショップ等を踏まえて作成した、ユニバーサルデザインガイドブックや、誰もが自由に快適に安心して楽しくわかりやすく活動できる空間整備の取組を紹介するユニバーサルデザインまちづくりガイドラインを用いて、普及啓発活動を行ってきた。
 これまでの活動を踏まえて、誰もが移動しやすく、利用しやすく、わかりやすいユニバーサルデザインまちづくりをこれまで以上に推進していくため、普及啓発の強化に加え、計画の早い段階からの事前協議制度や工事完了報告制度の創設等により施設整備を強化する(仮称)新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例の制定に向けた取組みを行っている。そして、令和元年9月15日から令和元年10月15日までは、条例の骨子案に対する意見を募集していると周知が行われた。
 次に「新宿駅東西自由通路整備について」、新宿区新宿駅周辺整備担当部新宿駅周辺基盤整備担当課の針谷龍史さんより講演があった。
 日本一の乗降客数を誇る新宿駅ということで、周辺がたいへん混雑し、また複数の路線が入るため駅の構造が複雑であるという課題がある。この計画は東西を結ぶJR線の改札内通路を自由通路化することによって、新宿駅の周辺における歩行者の回遊性の向上を図ることが目的である。
 具体的には、誰でも通れる自由通路にするため、改札位置を変更する。また現在幅員17mの東西の通路を25mに拡幅して余裕のある通行空間を確保する。これら大がかりな整備工事の計画やその過程、現在の状況などスライドを使った説明が行われた。
 最後に「新宿グランドターミナルについて」、同課の三浦大和さんの講演があった。
 北は西武新宿駅、南はバスタ新宿、東西広場の範囲を新宿グランドターミナルと位置付けている。2040年に向けて、新宿グランドターミナルのコンセプトについては、駅、駅前広場、駅ビル等が有機的に一体化した次世代のターミナルであり、誰にとってもやさしい空間が街と繋がり、さまざまな目的をもって訪れる人びとの多様な活動にあふれ、交流、連携、挑戦が生まれる場所となる。新宿グランドターミナルを再編することで新宿中央公園、新宿御苑をつなぎ、グランドターミナル周辺の街にも効果を発揮させていくものである。(房前 寿明)
アカペラミュージック
 東洋大学白山キャンパスのアカペラサークルhumの皆さんによるコンサートが行われた。大学4年生の男女混合メンバー5名により、「LA・LA・LA LOVE SONG」、「凛として、明日も強くいてやるんだ」などアンコールも含め計3曲の披露となった。歌声が鳴り響くと構内を行きかう人びとが足を止めてリズムに乗って歌声に聞き入っていた。メインボーカル(リード)をはじめ、サイドでボーカルをささえるコーラスやメロディをつくりながらリズムを支えるベース、ドラムや打楽器を表現するボイスパーカッションでアレンジされたアカペラグループで、独創性のある歌声が夕刻の会場に響いた。(房前 寿明)
9月22日(日)
南部支部の鷹取奨さんによるバルーンアートパフォーマンス。
1本の風船を曲げたり、組み合わせたりして動物や漫画のキャラクター、さらには天使の羽根やブレスレッドなど身につけられる作品をつくる。*
セミナー「多摩産材の過去、現在、未来」。
講師は鐙美知子東京都産業労働局森林事務所森林産業課長。東京の木を使用することにより東京の森を知っていただきたいとのメッセージが。*
セミナー「地域の魅力と活性化」第1部の台東支部の松久保秀昭さん。台東区の御徒町から蔵前にかけての通称カチクラエリアについて。*
セミナー「地域の魅力と活性化」第2部の中野支部の五味道雄さん。中野駅新北口駅前エリアの再整備について。*
会員セミナー「建築検定ってなあに?」。大沼耕平さん(左)と、脇田健裕早稲田大学客員准教授(右)。
建築検定は遊びながら建築を学ぶことができ、5級から2級まではスマホの無料のアプリで取り込める。*
第45回東京建築賞発表会。発表に立った会長賞「水天宮御造替」の設計者、竹中工務店の水野吉樹さん。*
第45回東京建築賞発表会。左よりIKAWAYA建築設計の井川充司さん。セカイの小野志門さん、同、北川健太さん、同、横井創馬さん。かまくら建築設計事務所の福井啓介さん。*
アカペラサークル「マルモンズ」の皆さん。男女混合メンバー7人で構成。*
バルーンアートパフォーマンス
 今年も南部支部の鷹取奨さんによるバルーンアートパフォーマンスが行われた。1本の風船を曲げたり、組み合わせたりして動物や漫画のキャラクター、さらには天使の羽根やブレスレッドなど身につけられる作品をつくり出した。子どもたちが一生懸命に手を挙げて、作品を欲しがっている姿が印象的だった。(倉部 広大)
セミナー「地域の魅力と活性化」
 地域の魅力と活性化をテーマに2部構成で開催された。
 第1部は台東支部の松久保秀昭さんによる台東区の御徒町から蔵前にかけての通称カチクラエリアについて。カチクラエリアは古くから装飾品、ファッション雑貨などの産業が盛んで地元に根付いたモノづくり企業と、新しいクリエイターが共存するマチであること、次世代(子どもたち)にモノづくりを伝えるために定期的にワークショップ等を開催し、大反響を受けていることをうかがい、まちとモノつくりが一体になっていることが感じられる内容であった。
 第2部は中野支部の五味道雄さんによる中野駅新北口駅前エリアの再整備について。常に工事しているイメージのある中野ではあるが、中野区役所の移転や駅周辺の再開発などまだまだ課題は残っているようだ。とても広い地域なので数多くの関わりがある中、ひとつひとつの問題を乗り越えてよりよい街にするため前進していることが伝わった。現在は2028年までの再整備のスケジュールがあり、一筋縄ではいかない様相が見えながら、とてもやりがいのある仕事のように感じられた。(倉部 広大)
セミナー「多摩産材の過去、現在、未来」
 天気予報が外れてからりと晴れ渡った午後、鐙美知子東京都産業労働局森林事務所森林産業課長より、東京の木についてのセミナーが始まった。木の話となると多岐にわたるが、ビデオや画像を交えてよく整理され、非常にわかりやすい説明をしていただいた。
 最初に東京の木材と林業の歴史の説明があり、江戸時代には四谷林業と呼ばれたように四谷付近が木の産地であったが、江戸の町が大きくなるにつれて多摩の方に舞台を移すようになった。現在、東京都全体の36%が森林で、その森林の約7割が多摩川、秋川、浅川流域の多摩地域西部に偏在している。多摩地域の森林の7割が私有林で国有林は2%(残りは都および市町村有林)。国有林以外の森林のおよそ6割が人工林だそうだ。その人工林の林齢構成は51年生以上が7割を占め、20年生以下は1割も満たない。木は20年以上になるとCO2吸収能力が低下し、30年以上たつと花粉をたくさんつけるようになる。林業の従業者が年々減っていく中で、古い木材を伐採して森林を更新していくことの重要性が語られた。木材には他の材料には代えがたい機能や魅力がある。最後に述べた「東京の木を使用することにより、東京の森を知っていただきたい」はわれわれに向けてのメッセージだ。
 東京都では花粉の少ないスギに植え替えるなどさまざまなかたちで木への取り組みをしている。詳細については「多摩産材情報センター」に問い合わせてくださいとのことだ。(田口 吉則)
会員セミナー「建築検定ってなあに?」
 一般社団法人東京都構造設計事務所協会(ASDO)にも所属している大沼耕平さんから建築検定とは何かについて説明があった。ASDOでは、建築業界の発展に貢献するために建築検定を企画・運営している。建築検定は遊びながら建築を学ぶことができ、5級から2級まではスマホの無料のアプリで取り込める(1級は年1回の有料試験)。システム開発は本職ではないので苦労したが、ようやく今年から軌道に乗った。これから他団体と交流を深め、FacebookやTwitterでも展開していきたいと展望を述べた。そしてプレゼンターの脇田健裕早稲田大学客員准教授にバトンタッチして、会場の皆さんと一緒に、4肢択一・10問の2級の問題を解いた。建築関係の方には比較的易しかったが、考えさせられる問題も2、3問あった。ぜひスマホで「建築検定」と検索してチャレンジを!(田口 吉則)
第45回東京建築賞発表会
 今年の東京建築賞受賞作品の中から代表して下記の4作品の設計者による発表会が行われた。  登壇者は、会長賞「水天宮御造替」竹中工務店、新人賞「HOUSE H -緑と戯れる家-」かまくらスタジオ、リノベーション賞「聖蹟桜ヶ丘の曳家」セカイ、優秀賞「Seven Gardens House」IKAWAYA建築設計。  どの受賞作品も創造性に溢れ、実際にその場に身を置きたくなるような作品である。その中でも住宅で受賞した3設計者はいずれも30代と若く、発想の原点に今までの既成概念にはないエッセンスが散りばめられている。また作品のすばらしさはもちろんだが、それをさらに際立たせるドローンを使った映像を交えたプレゼンなど、新しい表現の方法にも感心した。詳しくは『コア東京』2019年6月号あるいは「コア東京Web(http://coretokyoweb.jp/)」を参照。(小山 充男)
アカペラミュージック マルモンズ
 アカペラサークル「マルモンズ」の皆さんによるコンサートが行われた。男女混合メンバー7人で構成されているが、曲に応じてボーカルやバックコーラス、ボイスパーカッションなどパートに分かれ、素晴らしいハーモニーが披露された。曲は坂本九さんの「上を向いて歩こう」、同じく「星を見上げてごらん」、童謡の「小さい秋みつけた」、サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」など、お馴染みの曲ばかりである。ジャズ風に、曲によってはバラード調にアレンジされ、曲の素晴らしさをより感じられる構成に聴衆も魅了された様子であった。駅へ急ぐ人びとも暫し足を止めてその歌声に聴き入っていた。(小山 充男)
9月23日(月・秋分の日)
自彊術(体操)。「自彊☆縁結び」代表の鈴木照男さん(東京都建築士事務所協会中野支部)と、大西早百合指導員。
セミナー「東京の景観を語る」。第5ブロック各支部が、「東京百景2019」のポストカードの風景を通して、川と海に囲まれた歴史ある下町エリア、足立、墨田、葛飾、江戸川、江東区の景観とその魅力を語った。
左より、墨田支部の鈴木文雄さん、葛飾支部の鈴木達也さん、江戸川支部の青谷懿さん、江東支部の蓼沼芳さん。
賛助会員セミナー「床材から考えるユニバーサルデザイン」。田島ルーフィングの角屋拓実さんが講師。「床材体感コーナー」が用意された。
komazawa jazzmarket +1のステージ。ギター/宮堂二郎さん、ヴァイオリン/中村裕子さん、ベース/新田収さん、ヴォーカル/大川良平さん(尚建築工房)。
自彊術(体操)
 「自彊☆縁結び」代表の鈴木照男さん(東京都建築士事務所協会中野支部)と、大西早百合指導員に、仕事の合間などに簡単にできる自彊術の基本のルーティンを学んだ。
 自彊術とは、全身の血行をよくし、姿勢を正して、人間の本来持っている自己治癒力を、免疫力を高めることにより助長させる健康体操。何の道具も使わず、体ひとつで、いつでもどこでも年齢を問わずできるのが特徴とのこと。確かに、ほとんど座ったまま、頭、腕、肩周りを中心に30分ほど動かしただけで血行がよくなり、肩こりがすっかり消えたから驚きだ。(飛田 早苗)
セミナー「東京の景観を語る」
 今年は、第5ブロック各支部が、「東京百景2019」のポストカードの風景を通して、川と海に囲まれた歴史ある下町エリア、足立、墨田、葛飾、江戸川、江東区の景観とその魅力を語った。
 まず、進行役である江戸川支部の金本成淑さんから、足立支部の横村隆子さんが2014年から描かれている風景スケッチを振り返りながら、荒川ワンド(人工池)、旧千住火力発電所のおばけ煙突、水と緑の地域特性を表現した四連作など、足立区の景観的見どころが紹介された。
 墨田支部の鈴木文雄さんからは、関東大震災、東京大空襲を乗り越えてきた区の景観形成に深く関わりのある都立横網町公園の「東京都慰霊堂」が紹介された。関東大震災当時、旧日本陸軍の被服廠跡地だったこの場所(空き地)には、家財とともに約4万人が避難していたが、周辺の市街地を焼き尽くした炎が強風にあおられ家財道具等に引火し、本災害による死者の実に36%にあたる3.8万人がここで命を落すという悲しい歴史が記録されているとのことだった。
 葛飾支部の鈴木達也さんは、人びとの営みが見える景観と題して区内の魅力を紹介。河川に囲まれた同区の人びとの生活を守っている堤防、金町浄水場取水塔、閘門橋など土木建築の機能・構造美を紹介。そしてその中で営まれる人びとの暮らしぶりが身近に感じられる商店街や、さまざまな要素がつくり出す下町の風景を語った。住民相談会や災害対策、耐震診断など、区と連携して窓口業務を行っている支部の活動についても報告があった。
 江東支部の蓼沼芳さんは、「深川東京モダン館」と区の歴史やまちなみの情報発信を行っている施設の取り組みを紹介。昭和7(1932)年に東京市営の食堂としてつくられた本館は、2階建てのコンクリート造の近代建築で、丸窓やスチールの水平連続窓がドイツバウハウス様式を彷彿とさせる。当初は、東京都社会局が震災復興のために設置した建物で、さまざまなかたちで利用された後、平成21(2009)年に区が文化拠点として再整備した。噺家の公演や歴史、まちづくり関連など、毎月多様なイベントが開催されている。建築関係者にとっても見どころのある場所とのことだ。
 江戸川支部の青谷懿さんのポストカードは、まるでカモメの足にマイクロカメラをつけて撮影したような、まさに「鳥瞰」写真。他の4区に比べ歴史的資源は少ないが、伸びやかに広がる地平線と東京湾や臨海公園の景観が今後の区民の原風景になっていく、と期待して活動しているとのことだった。区が長年悩まされてきた「治水」を人にやさしい親水公園や親水緑道として整備する取り組み、景観条例や住民と一緒につくった江戸川区百景など。相反する側面のある景観と防災を一体で解きほぐしていくのが建築の仕事、と自らと支部の歩みを振り返り、発表を締めくくった。
 下町の景観形成が、災害への取り組みと表裏一体であることが非常によく理解できた今年のセミナー。各支部が、日々、昔ながらの街の面影を残しながら災害に強い街づくりに尽力していることを知り、胸が熱くなった。(飛田 早苗)
賛助会員セミナー「床材から考えるユニバーサルデザイン」
 田島ルーフィングの角屋拓実さんに話していただいた。
 田島ルーフィングのUDフロアシステム(屋内用低突起型誘導点字タイル)は、建物を利用するすべての人にやさしい屋内用の視覚障がい者誘導システムである。
 低突起タイプなので、高齢者、半身麻痺の方、妊婦、ハイヒールでの歩行も「つまずきにくく」設計されている。また、車いす利用者、ベビーカー、点滴スタンド、カートでの走行も「移動をさまたげにくく」つくられている。そして、晴眼者の意見として「黄色」は少し違和感の残る空間になるといった意見が多くあったため、ベージュやグレー、オフホワイト色も取りそろえられた。輝度比2.0以上の組み合わせであれば、周りのタイルカーペットや塩ビタイル、長尺シートとの組み合わせが可能となるシステムである。詳細はこちら(https://www.tajima.jp/)。話の後、「床材体感コーナー」が用意された。(早川 佳孝)
ジャズステージ
 komazawa jazzmarket+1のステージで、本日の演奏者は、ギター/宮堂二郎さん、ヴァイオリン/中村裕子さん、ベース新田収さん、ヴォーカル/大川良平さん(尚建築工房)であり、最後の演題を飾るにふさわしく満席の中でもゆったりとした気分で聞き入っていた。(早川 佳孝)
エンディング
 本年度建築ふれあいフェア委員長の戸張毅さんの司会進行で始まり、臼井勝之副会長の挨拶の後、来年度の建築ふれあいフェア委員長の小田惠介さんの閉会挨拶で終了となった。加えて、花引き換え券持参の方々にお花のプレゼントが行われた。(早川 佳孝)
ワークショップ(9月21日〜23日)
写真と文:大平孝至(他頁の*印の撮影も。無印は各執筆者撮影)
KAPLA®(板橋支部)
子どもの思考は柔らかく、積み重ねると塔状の物ができ上がるのが普通ですが、今年は柔らかな楕円形の造形をつくる子どももいて将来が楽しみでした。
折り紙建築を作ろう(新宿支部)
カッターを使用するので難易度は高い。子どもは会員の手助けで楽しそうに、大人は真剣そのもので制作していました。
みんなてつくるみんなの街
今年も子どもから大人まで自分でつくった建物を並べてたのしいみんなの街ができ上がりました。
手のひらにのる小さな街(台東支部)
細かなカラーサンドやビーズ、色紙や、マーカーを使って自分で作った街が最後には手のひらに乗せて記念撮影。
地震ザブトン
コンピューターで制御して地震の体験ですが、ザブトンがエリアをはみ出すことがあり、自然災害は想定できないものです。
めざせ、丸太切り名人(東京都農林水産振興財団)
元気な子どもがのこぎりでザクザクと木を切るといい木の香りが会場に流れていました。
小田 惠介(おだ・けいすけ)
東京都建築士事務所協会理事、株式会社G建築総合研究所
1952年大分市生まれ/早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了/1979年株式会社日建設計入社/2008年東西建築サービス株式会社入社/2019年株式会社G建築総合研究所設立/現在、同代表取締役/中央支部
野瀬 有紀子(のせ・ゆきこ)
東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員会・練馬支部、女性のための住まい相談室/のせ一級建築士事務所
女子美術大学卒業/木造戸建住宅の設計に長く携わる
房前 寿明(ふさまえ・としあき)
東京都建築士事務所協会目黒支部副支部長、ユニップデザイン株式会社
1971年 大分県大分市生まれ/1996年 九州芸術工科大学 生活環境専攻 博士課程前期 修了/1996年 仙田満+株式会社環境デザイン研究所 勤務/2003年 プロ・ジェクト、長谷山純一級建築士事務所 勤務/2007年 ユニップデザイン株式会社 設立、現在に至る
倉部 広大(くらべ・こうだい)
東京都建築士事務所協会青年部会幹事、豊島支部、株式会社ビームス・デザイン・コンサルタント
田口 吉則(たぐち・よしのり)
東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員長、江戸川支部副支部長
1953年東京生まれ/(株)チーム建築設計代表取締役
小山 充男(こやま・みつお)
東京都建築士事務所協会北部支部、建築工房 上二 一級建築士事務所
1967年長野県松本市生まれ/武蔵野美術大学建築学科卒業
飛田 早苗(とびた・さなえ)
東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員、株式会社日建設計
神奈川県横浜市生まれ/慶應義塾大学総合政策学部卒業/現在、株式会社日建設計広報室課長
早川 佳孝(はやかわ・よしたか)
東京都建築士事務所協会賛助会員会幹事、会誌・HP専門委員、富田商事株式会社企画・デザイン部 建築意匠参与
大平 孝至(おおひら・たかし)
東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員、台東支部監事
1984年 東京電機大学建築学科卒業/株式会社ダイリン一級建築士事務所勤務。マクドナルド、松屋、鳥貴族等、チェーン展開の飲食店の建築設計及び店舗デザイン設計をする