社労士豆知識 第41回
労働基準法の規定による休憩時間について
田中 教子(のりこ社会保険労務士事務所)
 ご存知の通り近年はインターネットで何でも簡単に情報を得ることができるので、権利を主張してトラブルになることが多々あります。使用者が知らないことにより義務違反で罰則が科せられることがあります。知っているようで知らない、労働基準法34条『休憩』について確認しましょう。
 休憩時間の規制は【長さの規制】と【与え方の規制】があります。
長さの規制
 たとえば、午前9時から午後5時までの勤務の場合の拘束時間は8時間になりますので、休憩時間は45分与えればよく、実働時間は7時間15分になり、6時間を超え8時間以内なので45分の休憩時間は適法です。
 残業により8時間を超える労働については、14時間勤務になったとしても1時間の付与で法律上は適法です。ただし、労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律なので、業種等により多く付与することは認められます。
与え方の規制
【途中付与の原則】
 休憩時間は労働時間の途中に与えなければならない。
 『途中』の位置について具体的に明記はされていないので、労働時間の途中であればよく、最初や最後に与えることが法的趣旨に反するものとなります。
【一斉付与の原則】
 原則:休憩時間は一斉に与えなければならない。
 特例:①運送業、②物品販売・理容業、③金融・保険業、④映画・演劇業、⑤郵便・信書便・電気通信業、⑥病院等保健衛生業、⑦旅館・接客娯楽業、⑧法別表Ⅰに掲げる現業以外の官公署
 上記に該当する事業(サービス系等)に従事する労働者には、仕事の性質上従業員が一斉に休憩することが難しいため、当然に交代制が可能であり、一斉付与の原則は適用されません。
【交替制の休憩】
 建設業や製造業は原則一斉付与ですが、労使協定を締結することで休憩交替制が可能になります。
 締結された労使協定は届出の必要はありません。
【自由利用の原則】
 原則:休憩時間は自由に利用させなければならない。
 ただし、自由利用の原則に抵触しないものとして以下の項目が掲げられます。
1. 事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的をそこなわない限り差支えありません。
2. 休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせることも、事業場内において自由に休憩しうる場合には必ずしも違法とはなりません。
3. 休憩時間中に職場内での従業員の政治活動は、従業員相互間の政治的対立ないし抗争を生じさせるおそれがあるなど、企業秩序の維持に支障をきたすおそれが強いので就業規則上一般的に禁止することは許されます。
4. 休憩時間中に企業施設内でビラ配布を行うことについて、就業規則で施設の管理責任者の事前の許可を受けなければならない旨を定めることは、使用者の企業施設管理権の行使として認められる範囲内の合理的な規制とされます。
そもそも休憩時間とは
 労働者が1日の労働の過程において、権利として労働から解放されることを保障されている時間です。また、休憩時間は正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト、パートなど雇用形態に関係なく付与されます。
 使用者や管理責任者の認識不足によりトラブルになることが多々あります。
 思い当たることはありませんか。
・休憩時間に外出する従業員についでに買い物などを頼むことは、休憩時間が終わってからの労働時間内にかかるのであれば問題はありません。
・休憩時間にデスクで昼食をとる従業員についでに電話番をさせたり、来客のお茶出しを頼んだりしたときは、その分休憩時間をプラスすることで気持ちよく引き受けてくれるのではないでしょうか。
 日々の不満の積み重ねがトラブルの元になります。使用者が休憩付与の義務に違反した場合、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。今一度、休憩時間を正しく与えているか見直してみてはいかがでしょうか。
田中 教子(たなか・のりこ)
社会保険労務士、のりこ社会保険労務士事務所
2003年よりセレクトショップを運営するアパレル企業で総務・労務に14年間従事。社内の障害者雇用にも尽力/2018年11月から勤務社労士として従事。2019年4月に開業/いい会社づくりの力になることを目指してします。
カテゴリー:建築法規 / 行政
タグ:社労士