VOICE 『コア東京』2017年4月号編集後記
栗田幸一(東京都建築士事務所協会台東支部支部長、編集専門委員会委員長、株式会社栗田建築事務所)
2016年4月14日の前震(震度階7)から始まった熊本地震は、15日(同6強)、16日 本震(1:25、同7)及び、16日(3:55、同6強)の4回の大きな地震となりました。学生寮的に使用されていたアパート30棟のうち7棟が倒壊(国総研調べ)し、学生3人が下敷きで死亡とマスメデイアで報じられていました。あるメデイアでは新築のアパートが倒壊したとありましたので、地震地域係数が0.9や0.8の多い九州などでは新耐震基準はあてにならないと思っていました。その後少し調べてみますと死亡事故の起きた建物3棟のうち2棟は新耐震ではなく、1棟の登記簿には昭和49(1974)年2月28日と記載されているとのことでした(暮らしっく不動産)。賃貸契約時に新耐震かどうかを確認しないと生死に関わります。
東京都の空き家が問題になって久しいですが、木造住宅に焦点が当てられていて共同住宅の話があまり出てきません。東京都の資料によると平成15(2003)年で66.5万戸、平成20(2008)年で75万戸、そのうち非木造賃貸住宅が33.4万戸(45%)となっています。今の施策だと都内のマンションが「ウエストサイドストリー」のようになるのもそう遠くありません。
空き家の利活用も必ず新耐震基準にしてからの話にしないと、熊本と同じ結果になります。東京大震災も未来でなく将来ですから。
栗田 幸一(くりた・こういち)
(一社)東京都建築士事務所協会台東支部支部長、編集専門委員会委員長、株式会社栗田建築事務所 東京浅草生まれ/祖父、父と3代目/1970年 東海大学工学部建築学科卒業/1970〜74年 伊奈建築設計事務所/1975年 父の経営する株式会社栗田建築事務所入社し、現在に至る/(一社)東京都建築士事務所協会台東支部支部長、編集専門委員会委員長
記事カテゴリー:建築法規 / 行政
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