社労士豆知識 第52回
マイナンバーカードが保険証として使えるようになります!
小島 信一(小島経営労務事務所)
マイナンバーカードの健康保険証利用
 いよいよ本年3月からマイナンバーカードに健康保険証機能が加わります。デジタル社会へ向けての大きな一歩といえるでしょう。ただ、実務的にどのようになるのかは、まだ不明な箇所もあるため、本格稼働にはもう少し時間がかかるかもしれません。厚生労働省からはリーフレットも出ていますが、浸透するかどうかは、未知の部分もあります。以前から言われていましたが、マイナンバーカードを利用することによって、われわれは様々な便益を受けることができます。具体的には次のようになります。
病院の受付
 今までは、窓口に保険証を提示していましたが、今後は「顔認証付カードリーダー」により受付が自動化されます。顔認証で、本人確認と保険資格の確認が同時に行われるのです。また、自動受付のため、人との接触も最小限となります。なお、本人確認は、数字4桁の暗証番号でも行うことができます。
いつもの診療・薬剤処方が変わる
 過去に処方された薬や特定健診の情報を医師や薬剤師に正確に伝えるのはたいへんですが、今後はデータに基づいて診療・薬の処方を受けることができるようになります。次のようなメリットがあります。
①過去の薬や特定健診のデータが自動で連携されるため、口頭で説明する必要がない。
②自分の体についてのデータを見た上で診察、薬の処方をしてもらうことで、より良い医療が受けられる。
③旅先や災害時でも薬の情報が連携される。
いつもの支払が変わる
 急な入院をした場合、多額の医療費支出が発生します。もっとも、一部負担金の限度額があるため高額療養費の請求により立替分は戻ってきます。さらに、限度額申請をすれば、一定額の負担で済みますが手続きが必要となります。そこで、マイナンバーカードを使うことで、窓口での限度額を超える医療費の一時支払が不要になるのです。これはオンライン資格確認をすることによる便益といえます。
ライフイベント後の通院が楽になる
 転職や結婚をすると保険証の氏名欄が変わり、手続きに時間を要し、使いたい時に使えないということが起こります。この場合、一時的に10割立て替えることになってしまいます。こんな場合、健康保険証が未発行でもマイナンバーカードで受診することができるようになります。そして、医療費は自己負担額のみで済んでしまうわけです。
いつもの自分の体の健康管理が変わる
 病院が変わったりすると、過去の通院の情報はもうわからなくなってしまいます。マイナンバーカードを使うことにより、薬や特定健診の情報がマイナポータルで一覧で閲覧できるようになります。そのため、以前処方された薬や自分の健康状態をいつでもどこでも確認することができるようになります。
確定申告が楽になる
 医療費控除という税額控除がありますが、領収書の保管が必須となっています。ところが、マイナンバーカードを使えばマイナポータルからe-TAXに連携し、確定申告が簡単にできるようになります。また、領収書の管理をしなくとも、マイナポータルで医療費通知情報により管理することができます。
 政府は、デジタル化の加速に舵を切りましたが、マイナンバーカードの健康保険証利用は、デジタル化への起爆剤になりそうです。
※マイナンバーカードの保険証利用の本格運用は、当初の3月末から先送りされることになったと報じられています。(3月25日)
小島 信一(こじま・しんいち)
小島経営労務事務所 所長、社会保険労務士
1968年 静岡市生まれ/1991年 常葉学園大学卒業/2007 年 台東区で小島経営労務事務所設立/ 2010 年 事務所を東上野に移転
カテゴリー:建築法規 / 行政
タグ:社労士