VOICE
飛田 早苗(東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員、株式会社日建設計)
紅葉とアートに彩られた清津峡。
山古志での「牛の角突き」千秋楽。
文化の日を挟んだ3連休、秋深まる新潟を訪れた。
ひとつ目の目的は、長岡にある宝徳山稲荷大社の神幸祭。縄文にさかのぼる(とHPにある)歴史と漆塗りの大殿堂が特徴的なこの神社には、神無月の深夜、出雲に向かう八百万の神々が降臨し、御祭を執り行われる。そのご利益にあやかるため全国から信者が大挙するのだが、実は、多くの人がその神事に加えて楽しみにしているのが非公式ながら同祭のメインイベントといっても過言ではない「火の鳥」の出現である。斯く言うわたしも、同僚に誘われ参拝し、夜空に舞う謎の物体を目撃、その光景と摩訶不思議な雰囲気を堪能した。
もうひとつは、長岡で設計事務所を営む友人夫妻との十年来の再会。一緒にご飯でもできたらと軽い気持ちで連絡を入れたのだが、図らずも、自らが設計した自邸を含め、彼らが関わったプロジェクトのガイドツアーをしてもらうことができた。中でも、中越地震で全村避難を余儀なくされた山古志を訪れ、錦鯉の競売、町役場前での収穫祭、復興交流館の訪問、そして彼らが改修設計に携わった闘牛場で国の重要無形民俗文化財に指定されている「牛の角突き」千秋楽を観戦することができたのは、大変得難い体験となった。
そして最終日には、越後湯沢に移動して、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」のプレイバックツアーに参加した。旅行の直前に発見して何の気なしに申し込んだツアーではあったが、紅葉が最盛期を迎えた清津峡をはじめたいへん見どころの多い企画だった。しかし、ここでの最大の出来事は、25人しかいないツアー客の中に小学校の同級生ふたりが居合わせたという奇跡。
数多の幸運が重なりに重なって、まさに八百万神のご利益ここにあり、と実感した旅路となった。
飛田 早苗(とびた・さなえ)
東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員、株式会社日建設計
神奈川県横浜市生まれ/慶應義塾大学総合政策学部卒業/現在、株式会社日建設計広報室課長
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