思い出のスケッチ #320
福岡空港と787
座二郎(東京都建築士事務所協会千代田支部、通勤漫画家・絵本作家、前田建設工業株式会社勤務)
 仕事の関係で頻繁に福岡に来る。福岡は今、建て替えや開発がたいへん盛んだ。福岡空港も建て替えが進められている。「ラーメン滑走路」なんていう全国のラーメンが食べられるエリアもある。ラーメンだって空を飛ぶ。人間も空を飛んで東京に帰る。会社の出張でステイタスが上がり、ラウンジで無料のビールに群がる私。ラウンジのカウンターで滑走路をながめる。ここから空港を描いてみようか。日差しが強くなってきた。窓のブラインド締めましょうか?と、係員。絵を描いているのでやめてください、とは言えなかった。でも手元をみて気がついてくれた。
 時間がきて飛行機に乗る。「機材の変更がありました。」とCAが言う。トリプルから787に変わったという。トリプル?ああ、777のことか。777と787は全然形が違うからすぐわかる。でも、777と767は外から見るとすごく似ていて見分けが付きにくい。尾翼の形や、タイヤの数など少しづつ違うだけだ。魚のオスとメスを見分けるのに似ている。そんなことを考えながら、飛行機の中でも絵を進める。右側はラウンジのカウンターから描いた絵。左側は35Bの座席から描いた絵になっている。窓から翼が見える。787の翼は尖っていて美しい。
座二郎(ざじろう)
東京都建築士事務所協会千代田支部、通勤漫画家・絵本作家、前田建設工業株式会社勤務
1974年東京生まれ/2000年早稲田大学大学院卒業後、前田建設入社。現在に至る