第18回建築ふれあいフェア 各支部ポストカード 人気ベスト5
旧⽇⽐⾕公園事務所
古⽥ 秀⾏(東京都建築士事務所協会千代田支部、支部編集員、株式会社エノア総合計画事務所)

 
 旧⽇⽐⾕公園事務所は、わが国初の様式公園である千代⽥区⽇⽐⾕公園内の⼀⾓に佇み、公園管理事務所として、一九一〇年(明治四三年)に竣⼯した建物である。設計者は建築家であり東京市の技師であった福⽥重義(一八八七〜一九七一)。東京帝国⼤学卒業、転職後、技師となって間もないころの作品である。この建物は洋式公園に相応しいように、ドイツ・バンガロー⾵の建物としてデザインされ、後に東京都指定有形⽂化財に指定されている。明治期の数少ない近代洋⾵建築のひとつとして建築史上も貴重である。築一〇八年を数えるが、その瀟洒な外観は公園の⽊⽴とともに美しい佇まいを保ち、週末は⺠間企業に貸し出され結婚式場として現役で活躍している。
 ポストカードの題材選定にあたり、四つの条件を考えていた。「⼀般にあまり多くは知られていないこと」、「歴史的に価値があること」、「デザインが美しいこと」、「現在も現役で利⽤されていること」等。ところがその条件を満たす題材選びに相応の時間を要することとなってしまった。昨年初夏、応募締め切り間際、蒸し暑さと⽊⽴の涼しさが交錯するなかで撮影したことを思い出す。
 ⽇⽐⾕は「⽇⽐⾕公園」や「⿅鳴館」とともに明治期における⽇本近代化を象徴するエリアとして始まった。最近では「三信ビルディング」他の建て替えを含んで再開発された「東京ミッドタウン⽇⽐⾕」もオープン。明治〜平成の歴史のコンテクストが混在するたいへん魅⼒ある都市界隈である。

名称 旧⽇⽐⾕公園管理事務所
所在地 千代⽥区⽇⽐⾕公園
建築時期 明治四三(一九一〇)年
撮影者 古⽥ 秀⾏
古田 秀行(ふるた・ひでゆき)
株式会社エノア総合計画事務所取締役 計画設計第一部長、東京都建築士事務所協会千代田支部編集委員
1957年 東京生まれ/1979年 日本大学生産工学部建築工学科卒業/株式会社間組建築設計部を経て、2003年 株式会社エノア総合計画事務所入社、現在に至る
http://www.e-noah.co.jp/