私の休日 ⑪
秩父三十四所観音巡礼
瀬尾 敏明 (東京都建築士事務所協会渋谷支部副支部長、一級建築士事務所株式会社ソア)
第十三番 旗下山慈眼寺。
左:第二番 大棚山真福寺(納経所)光明寺。右:第四番高谷山金昌寺マリア観音。
 「犬も歩けば棒に当たる」とは、本来は、犬がうろつき歩いていると、人に棒で叩かれるかもしれないというところから、災難にあうという意味であるわけですが、私どもとしては、「犬も歩けば棒を拾う」といった感じでしょうか、町、村、社寺、仏閣を歩いて多くのことを感じ取ることが大好きです。
 秩父三十四所観音巡礼の前に、これまでに関東の重要伝統的建造物群巡り、関八州一ノ宮詣で、武蔵国六社と総社詣で、それと昨年1年かけて回った歌川広重名所江戸百景巡りを終えました。
 東京都建築士事務所協会渋谷支部のみならず、第3ブロックの関係者を含む6人でやってきていて、多少足腰に自信が付きはじめたので、よし、では皆こぞって未知の世界の「秩父三十四所観音巡礼」をやろうということになりました。
 日帰り7回の巡拝を選択して、すでに3回を終え、半分の計17の札所を巡拝しています。
 巡って見ると、東京から近いところにもかかわらず、自然が沢山のいいところであると改めて感じました。よってこの巡礼は急いで回るのではなく、11月の紅葉の時期までかけて、まあゆっくりやろうかと始まったものです。
 第1回は、第一番札所の誦経山四萬部寺に行き、先ずは背に「南無観世音菩薩」と墨字で書かれた笈摺(白衣の七分袖)、それから輪袈裟(首に掛ける)、納経帳、納経帳入れ、そしてお札を購入して身支度を整えました。やはり形が大事であろうと一同の考えです。
 何も分からないながらも、先ずはお線香を立てて、お札を納めて、お参りしてから、一同横一列になって「摩訶般若波羅密多心経」をお唱えします。6人もいれば大したもので、暗唱している者がひとりいます。よって他の者は引きずられるようにお唱えしました。
 それから、お札も大切です。住所、氏名、年齢そしてお願いごとを記載してお納めします。私は「○○でありますように」と記載します。○○は私と観世音菩薩のみぞ知ることです。
 それらが終わると納経所へ行って納経書をいただきます。太い毛筆に御朱印は心改まる思いがします。ですから、神社へ行ってお参りして直ぐに帰るのとは大きく異なり、時間の余裕も見なければなりません。ましてや団体の参詣者にぶつかりますと、時間が読めないことも多々ありました。
 さて、これまでの記録ですが、第1回:4札所、距離4.785㎞、高低差178.07m、歩数7,975歩。第2回:6札所、距離7.794㎞、高低差42.45m、歩数18,576歩。第3回:7札所、距離7.088㎞、高低差34.49m、歩数11,813歩。
この数字で感じ取っていただけるかどうか分かりませんが、第1回は高低差に、第2回は距離と高低差にまいりました。第3回は比較的余裕がありました。
 『禅林類聚』という書物の中に「歩々是道場」というのがあるようで、何回読んでもよく分からい難解なものですが、要は「私たち歩く一歩一歩は、まさに修行であり道場であるということです」と。どうやら「参った」と言っている場合ではないようです。
 それぞれの札所や巡礼道には趣きがありました。そこで四苦八苦して拙句を4句詠みました。
  春光に金糸の輪袈裟輝いて
  笈摺の肩に掛かるや花一片
  夏めくや乳やるマリア観音像
  老鶯に般若心経重なりて
 さて、第三十四番札所の結願を目指して、皆して頑張ろうと……。
瀬尾 敏明(せお・としあき)
東京都建築士事務所協会渋谷支部支部長3期、一級建築士事務所株式会社ソア代表取締役
1949年 栃木県大田原市生まれ/日本大学理工学部Ⅱ部建築学科中退/一級建築士事務所 株式会社ソア設立 現在37期
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