第54回 千代田区建築技術者講習会
千代田支部
古田 秀行(株式会社エノア総合計画事務所、東京都建築士事務所協会千代田支部)
会場風景。(撮影:玉腰 徹)
 平成28(2016)年2月15日、今年も恒例の千代田区建築技術者講習会が、千代田区建築指導課主催、東京都建築士事務所協会千代田支部の後援により、千代田区役所1階区民ホールで開催されました。
 今回のテーマは5つで、最初は「オリンピックと東京のまちづくり」と題した明治大学公共政策大学院の青山佾教授の講演でした。青山教授は都庁で幅広い業務を経験され、石原都知事第1期の副知事を務めました。その後に現職につかれ、都市政策の専門家として、都市に関する数多くの著書があります。今回は、東京をはじめとする世界の都市で、オリンピックをきっかけとした都市の変貌の過程について、分かりやすく説明していただきました。またオリンピック終了後のレガシー(遺産)のあり方についてのお話も興味深いものでした。さらにオリンピックの枠にとどまらず、これからのまちづくりの考え方、あり方に関しても言及があり、われわれ建築にかかわる技術者にとっても、とても刺激があり、参考となる内容でした。
 次に「マンション建替法の改正に伴う千代田区総合設計許可要綱の改正」について、千代田区建築指導課建築審査係長より説明がありました。要綱改正のポイントは、要除却認定マンションの建替えについて、千代田区では都の許可要綱よりも、空地要件や容積割増の係数等を大きく緩和している点です。千代田区内の共同住宅居住の割合は約84%と、東京都全体の約68%という数値よりも大幅に高く、今後この制度の活用が期待されます。
 次に同設備審査係長より、今年春から一部施行される「建築物省エネ法」(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)の概要及び今後のスケジュールに関する解説がありました。
 さらに同安全対策係長より、「応急危険度判定活動及び被災地自治体支援業務について」として、宮城県南三陸町での調査を例に挙げ、活動内容の説明および千代田区の応急危険度判定活動への参加の呼びかけがありました。 
最後に、平成28(2016)年10月から予定されている「区建築物環境計画書に伴う事前協議制度」について、同環境政策課長より説明がありました。
 今回は小雨降る悪天候にもかかわらず、約100名の技術者が集まり、熱心に受講していました。千代田支部では、会員の皆様への情報提供を通して技術の向上を目指し、今後とも引き続き「千代田区建築技術者講習会」の後援を続けていく所存です。
古田 秀行(ふるた・ひでゆき)
株式会社エノア総合計画事務所取締役 計画設計第一部長、東京都建築士事務所協会千代田支部編集委員
1957年 東京生まれ/1979年 日本大学生産工学部建築工学科卒業/株式会社間組建築設計部を経て、2003年 株式会社エノア総合計画事務所入社、現在に至る
玉腰 徹(たまこし・とおる)
株式会社司構造計画 一級建築士事務所 常務執行役員・管理建築士、東京都建築士事務所協会千代田支部 副支部長
1955年 岐阜県生まれ/1978年 日本工業大学工学部建築学科卒業/一級建築士、構造設計一級建築士、構造計算適合判定資格者
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