建築士事務所のトラブル予防研修会
東京都建築士事務所協会指導委員会
東京都建築士事務所協会事務局
熱気溢れる会場はカメラのレンズが曇るほど。
講師の皆さん。
 平成28(2016)年2月26日(金)、東京都建築士事務所協会本部会議室にて「建築士事務所のトラブル予防研修会」が開催され、52名が受講しました。
 当日は日本建築士事務所協会連合会(日事連)発行の『実例に学ぶ建築士事務所のトラブル予防』をテキストとして、本会の山下登副会長(指導委員会担当)、長年苦情解決業務を担当している渡辺幸雄指導委員会委員と小林志朗指導委員会委員、そして建築士事務所賠償責任保険に携わっている中川孝昭日事連サービス相談役の4名が講師となり、トラブルを予防する方策や事例について、詳しい説明がありました。

 テキストの第1章である「リスク回避の重要性について」では、建築主に対して、手間を惜しまずに事前説明を十分に行い、正しい認識を相互共有するために努力すること、建築主の要望に応じられる部分は対応し、応じられない部分は説明の上納得してもらうことが大切であることが話されました。また、トラブルが発生したら、まずは建築主との当事者間協議の際に、真正面から向き合い誠実に対応すること、紛争になった場合は、建築主の不満の中心は何か、建築士事務所としてどの程度の譲歩が可能か、またどの程度の譲歩が正しいかなどを、第三者の意見も聞きながら事前に十分に検討してほしいとのことでした。
 第2章「苦情の実例に学ぶ」では、本会をはじめ全国の建築士事務所協会で行っている「士法27条の5に基づく苦情解決業務」で対応した案件より、実例を挙げて説明がありました。この章では、成果品の完成度への不満、工事監理に対する設計者への不満、リフォーム依頼内容と結果が異なるという件や、設計料に対する行き違いなど、さまざまな例について説明があり、適切なタイミングでの契約取り交しや書面での説明等を行うこと、また業務をすすめるにあたっては、建築主との打合せ記録をきちんと作成することを勧めていました。
 第3章「係争事例・判例に学ぶ」では、原則として過去30年以内に出された係争事例の判例について、また第4章「賠償責任保険の事故例に学ぶ」では、日事連の建築賠償責任保険の仕組みと具体的事例について説明がありました。

この研修会のテキストをまだお持ちでない方は、トラブル予防の参考として、ぜひ一読されることをお勧めします。
テキスト
〜信頼される建築士事務所を目指して〜「実例に学ぶ建築士事務所のトラブル予防」
編集・発行:一般社団法人日本建築士事務所協会連合会
発行日:2015年7月 (第2版)
販売価格:会員価格 2,057円(税込み)
テキスト表紙。
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