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南口 聡(東京都建築士事務所協会理事、会誌専門委員会副委員長、渋谷支部、株式会社フジタ)
明治神宮外苑のイチョウ並木。
原稿を書いている11月中旬、明治神宮外苑のイチョウ並木が色鮮やかな黄金色に染まっています。毎日、多くの方が昼夜問わず晩秋の散策を楽しんでいらっしゃいます。
さて、歳を重ねる毎に月日の流れが早まり、今年も残すところ1カ月となりました。この時期の年中行事として年賀状の作成準備があります。来年の干支も含め、どんな絵柄と挨拶文にするかに悩みます。昭和の時代はハガキや封書で手紙を送ることにまったく抵抗感を持ちませんでした。しかし、平成・令和と過ぎ行く中で、その良き文化は消えつつあります。若者はLINEやSNS等によるデジタルでのやり取りが主流となりました。
そもそも年賀状とは何なのでしょうか? 年始回りを簡略化したものが年賀状のルーツと言われています。江戸時代、街道整備と飛脚文化の広がりや寺子屋の普及で多くの人びとが利用するようになり、年始回りの代わりに、この風習が幅広い人びとに広まったと言われています。もちろん当時は大量印刷やワープロなどなく、一枚一枚に気持ちを込めながら筆を執っていたことでしょう。
私は元旦の朝、ゴムで括られた年賀状の束を解く時、1年に一度の妙な緊張感を味わいます。毎年届く旧友や先輩、昔の上司や遠戚からの年賀状、「今年も届いているかな?」「あっ、来てた来てた」とホッとし、まだまだ元気で頑張っていらっしゃるなと安心します。また、写真入りの年賀状を見ては、この1年で一段とお子さんが成長したなと喜びを感じています。反面、この時期、喪中はがきが届く度に悲しむことが増えてきました。特に同世代の知らせにはショックを受けます。皆さんも同じような年末年始とお察します。
日本郵便によりますと、国民ひとり当たりの年賀状は13枚とのことです。言うまでもなく年々減少し続けています。伝統的な日本の年賀状文化が消えつつあり寂しさも感じます。元気な内はできる限り毎年送り続けたいと思います。
 私事ではありますが来年、還暦を迎えます。十干十二支が一巡して、もとの暦に還ります。さて、節目の来年はどんな年賀状にしようか? と頭を悩ませる今日この頃です。来年も良い年になりますように!!
南口 聡(なんこう・さとし)
東京都建築士事務所協会理事、会誌専門委員会副委員長、渋谷支部、株式会社フジタ取締役 常務執行役員 建築本部長
1963年 広島県生まれ/1986年 東京電機大学工学部建築学科卒業/株式会社フジタ取締役 常務執行役員 建築本部長
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