VOICE
早川 佳孝(東京都建築士事務所協会賛助会員会情報委員、『コア東京』編集委員、富田商事株式会社 企画・デザイン部 建築意匠参与)
聖橋からニコライ堂を望む。
お茶の水駅ホームからの聖橋。
変わる・変わらない風景 お茶の水
神田川沿いにあるJR御茶ノ水駅、そのホームから対岸に見える地下鉄丸の内線の入口が護岸の緑に突き出ている風景は川と共に味がある。その左にお茶の水橋、右に「聖橋」が見える。ホームから階段を上がると道路面の改札口に出る。ここが駿河台である。そのお茶の水駅は現在大改造中である。
山田守設計の「聖橋」は1927(昭和2)年にできた。その少し前1920(大正9)年に、東京帝大建築学科同期6人により「我々は起つ」の宣言のもと「分離派建築会」が結成された。山田守もそのひとり。建築美を追求した若者たちの、日本の建築史展『分離派建築会100年展』が昨年10月~12月パナソニック汐留美術館で開催された。その帝大教授でもあった、ジョサイア・コンドル設計の「ニコライ堂」が聖橋の南方向に見える。
「分離派建築会」結成のひとり、堀口捨巳が駿河台にある明治大学に建築学科を創設したのは1949(昭和24)年である。その明治大学に私が入学したのは1962(昭和37)年である。堀口捨巳は茶室建築等自然素材を重んじる日本美の建築に功績を残している。また、明治大学駿河台校舎等も設計しており、堀口先生には造園学を学んだ。だがその校舎も今はない。時とともに変わりゆく……お茶の水。
早川 佳孝(はやかわ・よしたか)
東京都建築士事務所協会賛助会員会幹事、会誌・HP専門委員、富田商事株式会社企画・デザイン部 建築意匠参与
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