建築設計×AIの時代へ
大山 雅充(東京都建築士事務所協会賛助会員、株式会社適正地盤構造設計)
国土交通省ホームページより。
AIビジネス創出アイデアコンテストでの発表。
 弊社と、国立大学法人 大阪大学(大阪府吹田市、宮本裕司教授)、株式会社ウィズ建築設計(大阪市都島区、代表取締役:松井隆幸)の共同提案の「AI活用による木造構造計算と地盤改良の設計及び作図の自動化」が、国土交通省「令和2年度住宅生産技術イノベーション促進事業」で採択されました。
 令和2(2020)年度住宅生産技術イノベーション促進事業とは国土交通省による、住宅建築分野における生産性向上に向けて優れた提案を応募した者に対して、国が技術開発に要する費用のうち最大5,000万円を国費で補助する事業です。
 弊社の事業内容は住宅の構造計算(許容応力度計算)、住宅地盤の地盤補強設計、ビル・マンションの既成杭・場所打杭・鋼管杭等の杭の設計、杭のセカンドオピニオンを行なっております。
 さて、AIという言葉は「アレクサ電気をつけて!」というAIスピーカーのコマーシャルなどで、広く知られるようになりました。最近では冷蔵庫やマグロまでもAIを冠に付けており、AIは身近な存在になりつつあります。「AIって何ができるんだろう?」、「凄そうだけどよくわからない?」という方が多いと思います。「人の仕事を奪う」というイメージもあるかと思います。でも所詮機械です。高速道路のETCや電車の自動改札もキップを切ってくれる人の仕事を奪いました。が人手不足や人件費の高騰を解消し、今ではなくてはならない機械ですよね。AIも同じです。マスコミなどは大げさに言いますが、使い方によって便利な、なくてはならない機械になるのです。ETCも自動改札もどっちも人がいますよね。完全に機械だけでは処理できないからです。建築設計にAIが導入されても同じことが起こります。AIは機械なので、ETCや自動改札と同じように人手不足を解消し、建築士の役に立つパートナー的な存在になると思います。
 私はAIのプログラムを一行も知りませんし、興味もありません。木造の構造エンジニア不足の解消はAIしかないと思ったので、AIに何ができるのかをインターネットや若いAIエンジニアに聞き構想を考えたのです。その結果、AIビジネス創出アイデアプランコンテストで優勝し、「構造エンジニア不足を解消し、構造計算を義務化するにはAIしかない」が確信に変わりました。このコンテストで優勝し、大阪大学の宮本裕司教授と出会い、国土交通省に共同でAIを提案し採択されたのです。AIを極めたいのではありません。「構造計算を義務化し、地震で倒壊する木造住宅をなくすこと」が目的です。
 4号特例の法改正には大量の構造計算をこなせる自動電卓のようなツールが必要で、それがAIなのです。4号特例の廃止の通達を国土交通省は出しましたが、構造計算の担い手である構造エンジニアが不足し立ち消えになってから12年が経過し、エンジニアはどんどん高齢化し、このままでは永久に地震大国である日本で構造計算が義務化できない事態となってしまいます。そこでAIがエンジニアの代わりに自動電卓として役に立てば良いですよね。そんな建築設計×AIを進めて行こうと思っています。詳細はお問合せいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
大山 雅充(おおやま・まさみつ)
東京都建築士事務所協会賛助会員、株式会社適正地盤構造設計一級建築士事務所 代表取締役 大阪府出身1963年 大阪府生まれ/大阪の高校卒業後、土木建設会社勤務、住宅向け大手地盤改良業者を経て、2015年に現在の建築設計事務所を設立/Tel. 06-7777-4690 E-mail: info@tekiseijiban.jp