働き方改革を考える 第9回
新型コロナウイルス禍での働き方──ワーキングメンバーのリレー報告②
太田 宏正(東京都建築士事務所協会働き方改革推進ワーキング、千代田支部、株式会社IAO竹田設計)
寺田 宏(東京都建築士事務所協会副会長、働き方改革推進ワーキング主査、清水建設株式会社一級建築士事務所)
横村 隆子(東京都建築士事務所協会会長補佐、働き方改革推進ワーキング、足立支部、一級建築士事務所横村隆子YHT環境設計)
泉 晃子(東京都建築士事務所協会理事、働き方改革推進ワーキング、新宿支部)
 前月号に引き続きテレワークについて、今回は見えてきた課題について各委員、ヒヤリングの関係者に伺った。
チームのコミュニケーションを考える|これからの時代に向けて
 設計という作業はやはりひとりではできません。現在3人チームの体制で業務を行っていますが、在宅の場合コミュニケーションをとることがやはり難しい。すぐにミーティングが行えないし、意見交換ができません。今後、ウェブ会議や既存のSNSだけではなく、新しいコミュニケーションツールや情報交換アプリなどを活用していく必要があります。
 いつまで続くかわからないこの状況を機に、テレワークを推進していきたいと思います。在宅でのリモートワークだけがテレワークではなく、いろいろな場所・環境で業務をしていくことに適応していく必要があります。まさに政府が唱える「新しい生活様式」に働き方改革も併せて今後考えていけたらと思います。
(太田 宏正)
テレワークを実践して
 創造的活動であればあるほどITを利用しての創作・表現は当たり前となり、パソコンを使わない業務は皆無に等しい。もちろん手書きスケッチに込める一筆の思いや閃きを否定しないが、膨大な情報量を操作しチームで設計を進めている状況下でテレワークの問題点が明らかになったと思う。
 まず第1は自宅での通信環境、膨大なデータを扱う通信インフラセキュリティの確保。自宅で大きなデータ量をストレスなく共有し作業を進めるのはまだまだ難しい。第2は広い意味でのコミュニケーションの問題。テレビ会議ではもどかしいし、若手の教育もなかなか進まない。組織としての調整や成果の管理も遠隔だとやりにくい。第3はオンとオフの切り替え。メール以外にもスマホで気軽にコミュニケーションとれる体制を会社として導入したが、朝夜休日関係なく連絡が入るし指示も来る。見なければいいのかもしれないが……。設計業務のテレワークはまだまだ試行錯誤が続く、と報告いただいた。
(組織設計事務所担当部長)
Withコロナ/新しい生活|今見つめなおすことを求めて
 3月下旬、母の通うデイサービスの建物上階から陽性者が出て自宅待機になりました。情報を求めてネット検索をしましたが、エビデンスの取られた情報を探すのはたいへんです。その時HP「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」を知り、今、それを拝見するのが日課です。HPから励まされたふたつのメッセージ(一部抜粋)を紹介させていただきます。
 ひとつ目は「手法を見直す(4/21配信・報道から学ぶ)」。日本電産の永守会長のインタビュー「50年、自分の手法がすべて正しいと思って経営してきた。テレワークも信用していなかった。収益が一時的に落ちても社員が幸せを感じる働きやすい会社にする。そのために50くらい変えるべき項目を考えた。反省する時間をもらっていると思い、日本の経営者も自身の手法を考えてほしい」に、山中氏が「経営者のみならずすべての日本人にあてはまると思います。肝に銘じます」と。50項目も変更できるか? 初心に返り働き方とライフスタイルを考えてみたいと思います。
 ふたつ目は「いまするべき行動(4/2配信・動画で学ぶ)」。「僕も大好きなABBAの曲に合わせて、今するべき行動が歌われています。なぜか見て(聴いて)いると涙が出てきます」。何度見ても胸が一杯になります。なすべき行動を守り、乗り越えていきたいと思います。
(横村 隆子)
互いの信頼感が必要|自らも納得する勤怠管理と成果主義
 自宅待機と在宅勤務は異なる。雇用者としては気をもむところであるが、働く側にも気になるところになってきた。
 在宅勤務の管理方法はことさら厄介である。自己申告に頼るか、あるいはプライバシーを侵害しても何らかの方法で覗くことになる。細かい勤務報告書も創造的作業である建築士には不適のように思う。あくまで雇用者と被雇用者の信頼関係にゆだねることになる。
 成果についてはさらに難しい。成果が形になるものであれば主張はたやすいが、スケッチしていたが良い案が浮かばず何もないときは、評価される以上に自らを評価できないというジレンマに陥る。孤独な在宅勤務は続けるものでないようで、在宅、サテライト、オフィス勤務をうまく組み合わせたハイブリッド化が必要に思う。
寺田 宏(働き方改革推進ワーキング主査、東京都建築士事務所協会副会長)
事務系職種の場合|親族の働き方をヒヤリングして
 親族の一例であるが、3月末より徐々にテレワークに切り替わっていたが、4月からは連日の在宅勤務になった。1日の勤務時間は前半と後半で選択制となっている。アクセスが多すぎるとファイルサーバーやメールサーバーが機能しにくくなるからだという。本人は、後半を選んで、朝は8:00にパソコンを立ち上げて、メールをチェックする、これで出社になる。昼までは自由に過ごし、毎日12:30から30分のZoomによる会議(データ量節約のため音声のみ)、その後13:00~19:00頃まで作業する。仕事面では特に問題がないが、社員間のコンタクト不足を補うため「おしゃべりタイム」や「飲み会」を設けるなどの工夫が始まっているという。朝夕の混雑時の通勤の時間が節約でき快適であり、夫婦で交互に食事の支度をしたり、平日にも散歩の時間が取れるのでうれしいと話した。緊急事態宣言が解除された現在は週に1〜2日出勤しているが、テレワークでの働き方は今後も継続されるようで、思いがけず急速に働き方が変わったとのことだった。
(泉 晃子)
太田 宏正(おおた・ひろまさ)
東京都建築士事務所協会青年部会、千代田支部、株式会社IAO竹田設計
寺田 宏(てらだ・ひろし)
東京都建築士事務所協会副会長、団体課題別人材力支援事業運営委員会委員長、清水建設株式会社一級建築士事務所
1956年 大阪府生まれ/京都大学大学院修士課程(建築学専攻)修了/1980年清水建設株式会社入社、清水建設株式会社一級建築士事務所/現在、同建築営業本部副本部長/中央支部
横村 隆子(よこむら・たかこ)
東京都建築士事務所協会会長補佐、一級建築士事務所横村隆子YHT環境設計 1955年 東京生まれ/1977年 日本大学理工学部建築学科卒業/一級建築士事務所横村隆子YHT環境設計/足立支部
泉 晃子(いずみ・あきこ)
東京都建築士事務所協会理事、株式会社タムラ設計
1944年 富山県生まれ/1967年 日本女子大学住居学科卒業/1995年(株)タムラ設計入社/現在、同顧問/新宿支部