文京支部研修旅行
文京支部|令和元(2019)年11月1日〜3日@広島・島根
藤本 祥(東京都建築士事務所協会文京支部、環境装備(株)1級建築士事務所)
水原爆ドームとおりづるタワーを背景に記念撮影。
おりづるタワーより平和公園を見る。
温泉津温泉のまちなみ(重伝建)。
大森のまちなみ(重伝建)。
出雲ドーム。
松江城。
足立美術館の庭園。 (撮影:筆者)
 文京支部研修旅行が前回の四国方面以来2年ぶりに開催され、今回は支部会員の要望などを踏まえて広島・島根方面を訪問した。
広島・宮島
 11月1日、8名の一行は空路にて広島入りし、レンタカーでまずは「原爆ドーム」へ。ドームのそばの展望台がある建物が目に留まったので寄ってみることにした。
 この建物は「おりづるタワー」で、広島マツダが自社の社屋を改修したもの。最上階の展望室からは原爆ドームをはじめ広島市内一帯を一望できる。また、12階から1階までガラス張りの煙突状の吹き抜けが設けられており、上部からこの中に折り紙の鶴を入れると飛びながら落ちていき、やがては積もり積もって吹き抜けを折り鶴で満たして平和への思いを示すとのことだ。改修に当たっても原爆ドームそばの高層建物なので景観の制約を考慮しながらなのでいろいろたいへんだったようだ。
 次に「厳島神社」へ。しかしあいにく大鳥居が改修工事中のため足場で囲まれた大鳥居を拝見することになった。そして1日目の宿となる島根県・温泉津温泉へと向かった。
温泉津・出雲
 温泉津温泉は石見銀山からほど近く、小さな湾になっている地形のため採掘された銀を船で出荷する拠点となっていた街だ。昔ながらのまちなみが残る温泉街は、温泉町としては唯一重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。また石見銀山遺跡の一部として世界遺産にも登録されており、この日は1日で世界遺産を3つも訪れたということになる。
 2日目は早朝に温泉津温泉のまちなみを散策した後、「石見銀山世界遺産センター」と大森のまちなみ(重要伝統的建造物群保存地区)を訪れた。その後出雲へ移動し「出雲大社」、「出雲ドーム」と立ち寄った。
 「出雲ドーム」は1992年に日本初の木造ドームとして完成し、当時は世界最大級の木造建築物であった。私たちが訪れた時は運よく中まで入れ、管理されている方のお話もいろいろ聞くこともできた。そして2泊目の宿となる松江へ。夜は、当地の郷土料理が堪能できる居酒屋で懇親会を行ったが、酒豪(?)の団体だったため、この日店に用意されていた大吟醸を全部飲み干してしまったようだ。
松江・安来
 3日目は「松江城」から始まった。松江城天守は「現存12天守」のひとつで国宝に指定されているが、実は国宝に指定されたのはここ最近で、それまでは築城された時期が特定できないため指定は見送られてきたそうだ。最近になって建立年が書かれた木板が見つかり、晴れて国宝の仲間入りとなった。
 天守の見学の後、全国でも珍しい堀の遊覧船で天守の周りをひと廻りした。この遊覧船もこれまた高さがギリギリの橋をくぐるので、時折船頭さんに屋根を下げるので体を低くするよう指示される。なお、松江城では明治時代に取り壊された大手門を復元する計画があり、懸賞金500万円を掛けて復元の情報源となる往年の写真や設計図などの史料を探しているそうだ。もしお心当たりのある方がいましたらぜひどうぞ(詳細は松江市・松江城調査研究室へ:ただし募集は今年3月末まで)。
 松江城を後にして最後は安来市の「足立美術館」に寄った。当地出身の実業家・足立全康氏が設立し、氏が所蔵する横山大観の作品などが数多く展示されていることもさることながら、世界一とも評される日本庭園があることで有名な美術館だ。庭園も絵画の一部という考えのもと足立氏自身も造園のプロデュースに関わり、中には館内から庭園を見せるためにすでにでき上がった壁を壊したところまであったそうだ。
 こうして2泊3日の研修旅行は終わったが、文京支部の支部旅行は慣例で交通事情が悪くてなかなか行けないようなところを訪れるので来年もこれに倣って行きたいと思う。
藤本 祥(ふじもと・ひろし)
東京都建築士事務所協会文京支部、環境装備株式会社
1972年千葉県生まれ/千葉工業大学建築学科卒業