先人の意思をつなぎ課題に挑む──墨田支部設立50周年記念事業
墨田支部|令和元(2019)年8月28日(水)@東京ソラマチ、東京スカイツリー
鈴木 文雄(東京都建築士事務所協会墨田支部支部長、有限会社鈴木設計一級建築士事務所)
記念式典。
水戸岡鋭治さんによる記念講演のパンフレット。
東京スカイツリー展望フロアレストランでの祝賀会。
祝賀会会場からの夜景。(撮影:筆者)
本所支部と向島支部の合併
 行政機構にあわせた合併を行い現在に至る支部はたくさんある。墨田支部もそのひとつで、本所・向島支部が手を取り合い昭和44(1969)年8月26日に発足した。
 東京が23区に再編され墨田区が誕生してから22年後にようやく合意に至ったことにさまざまな困難があったことを察し、当時の先輩方の合併におけるご尽力やご苦労はたいへんなものであったと頭が下がる。そこから脈々と歴史を重ね今の墨田支部が健全にここにあることに、あらためて先人たちに感謝申し上げたい。
 合併記念日の2日後である令和元(2019)年8月28日(水)に50周年記念事業を執り行った。参加者の誰もの心に残る会にしたいという想いから会場の選定には拘り、記念講演と式典を「東京ソラマチ・イーストタワー」12階会議室、祝賀会を「東京スカイツリー」展望フロアのレストランという、途中で会場移動が発生する実に難易度の高いプログラムで開催することに挑戦した。幸いにも大きなトラブルはなかったが、いまだに悪夢にうなされる試みであった。
水戸岡鋭治講演
 記念講演は、JR九州「ななつ星」の車両デザインでも有名なイラストレーター・工業デザイナーの水戸岡鋭治先生にお願いできた。都祭芳明墨田支部監事(記念事業実行委員長)の仕事仲間という奇跡的な繋がりにより実現に至った。
 「デザインは公共のために」というお題で、その重要性や必要性、与える力、向き合うための心構えや拘りを、まるで作品集といえる鮮やかなスライドをめくりながらお話しいただいた。
記念式典と祝賀会
 記念式典では墨田区のまちづくりへの貢献に対し、墨田区の山本亨区長から感謝状が贈られた。また、墨田支部の永年在籍者に対し、児玉耕二会長からも表彰状をいただいた。これからのわれわれの活動への励みにもなるすばらしい式典となった。
 そして地上345mのスカイレストランに移動し祝賀会を開宴した。午前中からの曇り空は幸運にも晴れ間が覗き出し、夕暮れから夜景の映える頃には格別の眺めとなった。高級フランス料理とのコラボレーションも実にすばらしく、ご来場の皆様の心に刻みたいという目標は達成されたと確信した。一連の記念事業は厳粛かつ盛会で、煌びやかなロケーションのなか結びとなった。ご来場いただいた全ての方との縁を大切にしていこうと心から思えるひと時となった。
 戦中に発足した「向島支部」と戦後に発足した「本所支部」。歴史も成り立ちも違うことから、それぞれの取り組む課題も異なっていたはず。先人たちはこの合併により各々のマイナス面を共有しひとつとなって立ち向かうことを誓ったのだろう。そのご意志を無駄にせず、誰にでも優しい安全なまちにするよう活躍していくことを、支部設立50周年に併せわれわれもここに誓う。
鈴木 文雄(すずき・ふみお)
建築家、有限会社鈴木設計代表、東京都建築士事務所協会墨田支部支部長
1984年 東海大学建築学科入学/1987年 同校中退、東京デザイナー学院建築デザイン科入学/1989年 同校卒業/有限会社鈴木設計一級建築士事務所入社、現在に至る