VOICE
建築士事務所30年を振り返って
大平 孝至(東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員、台東支部監事、株式会社ダイリン一級建築士事務所)
1988年に訪れた時のDorby Hotel。
Dorby Hotelのスケッチ。
2018年に再訪したDorby Hotel。
建築士事務所を開設して30年が過ぎた今日、弊社(株)ダイリンの30周年記念事業を執り行わせていただきました。その一環として、後に続いていく人たちのため、過去に携わった物件や出来事を纏めよう! そう思い立ち記念誌をつくるため、事務所の歴史や取り組んできた多くの物件を整理したのですが、不慣れな作業の連続に困惑しつつ、改めて過去を振り返ることは、楽しい作業でもあり、これからの設計業にも役立つことがあると、気づかされました。その中でも30年前の開業直前に行ったヨーロッパ研修を振り返り始めたときに、今までは余り考えてはいませんでしたが、この時の研修が思いのほか、自分なかでの建築の五感に影響していたのだと、目が覚める思いを感じた作業でした。
近年、ワールドワイドなチェーン店の設計をしている中で、モチーフとした建物の写真や、風景など、インターネットを使えば、多くの情報があります。しかし、実際に行った時に感じた空間の広がり方や、風土・気候など、その建物が建っている実際の空間を一度体験したことがあるからこそ、今に通じる仕事に役立ってきたのだと思います。また、今回改めて当時訪れた場所を調べ直すと、30年の年月を感じ、記念事業とは別に記録としてまとめたいという意識がさらに大きくなつてきた次第です。
話は日本に戻り、8年程前から日本の神社の建築とその地域の暮らしや歴史を訪れることも多くなり、日本の建築の美しさやその地域のお祭りを楽しみながら、建築写真を撮り、御朱印等を集めています。これらを通して、建築のデータを集め、比較することが好きな自分を改めて気が付いた今日この頃です。
大平 孝至(おおひら・たかし)
東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員、台東支部監事
1984年 東京電機大学建築学科卒業/株式会社ダイリン一級建築士事務所勤務。マクドナルド、松屋、鳥貴族等、チェーン展開の飲食店の建築設計及び店舗デザイン設計をする
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