根岸3~5丁目木造密集地域を歩く
支部だより
栗田 幸一(東京都建築士事務所協会台東支部/株式会社栗田建築事務所)
見学地図。台東支部 高安重一作成。
 2015年8月29日午後、小雨のそぼ降る中、2ブロックの各支部のほか、台東区職員の方々を含む総勢20数名で「木造密集地域まちあるき研修会」の第2弾「根岸地区を歩く」を実施しました。

 14:00 金曽木公園集合 支部長挨拶 班分け 概要の説明
 16:00 2時間のまち歩き(地図をご覧ください)
 17:00 1時間の参加者感想、まとめ
 17:30 2時間 楽しい懇親会(荒川支部の山下副会長も参加戴きました)

 台東区都市計画課と副支部長の高安重一さんに今回も実施をお願いしました。思った以上に多くの収穫がありました。

 木造密集地域は、「道幅が狭い」、「空き家が存在する」、「相続などで広い敷地を持ちきれない」等の都市の悩みが集積した地域です。台東区は2014年4月1日からこの地域に新たな防火規制を実施し、準耐火、耐火構造への誘導を図りました。 この地域は、2014年で幹線道路沿道の防火地域の不燃化領域率は64.4%、それ以外の準防火指定地域では、同じく46.1%になっています。不燃化領域率が70%以上になると市街地の焼失がほぼなくなるといわれています。つまり、根岸地域ではメイン道路界隈ではもう少しで不燃化70%達成ですが、奥へ入ると1/2にも満たない木造密集地域で、旧耐震建物も多く存在し、火災、耐震両方に不安が残るといえるでしょう。
 研修会は、金曽木小学校裏の「金曽木公園」に集合し、2班に分かれて台東区都市計画職員の方々から説明を聞きながら、木造密集地域を見学。両手を広げると両側の家に触ってしまうような細い道を、これは修正しないといけないと感じながらも歩いて行くと、3戸のミニ開発が隣り合っていました。 ミニ開発は「悪」といわれて久しいのですが、超高層アパート+低層部店舗の開発手法に最近うんざりしている私には、人の住むミニ開発が新鮮に感じられました。駅前シャッター通りの再開発では、ショッピングセンターを核とした再開発ビルの中に元の商店街を専門店街として配置したもののそれがシャッター街化し、借金返済のために権利を手放すケースが増えているようです。それよりはマシだと思うのです。シャッター街は「空き家」です。
 課題は山積していますが、台東区は町会組織がしっかりしていて地域連携が比較的うまくいっています。私たち設計事務所も、待っているのでなく積極的に地域に入って、活性化のお手伝いをすべきだと思いました。
ポケットパーク+水利。
当初は柵はなかったが、犬の糞を放置する近隣住民が多く、柵を設けた。
ミニ開発。
根岸地区はすべて3階建て。
奥の坂は認定道路。
懐かしいゴミ捨て。東京オリンピックで無くなった。
換地。
賃貸マンションの道路側には昔料亭があったのか立派な門がマンションにへばりついて居ながらも、自己主張。
歌舞伎座はここの模倣? 佐野ってる?
元理髪店。
根岸の鳩。
家屋解体跡地。
参加者まとめ会議。
上手い敷地後退。
つくり出した空間。
通路。
天空率の功罪。
近隣では「反対」のぼり、ポスターが張ってある。
都市計画の難しさ。
何時になるとうまくいくのかな?
道の上に敷地境界標。
道路を整備しました。
突き当りに重層長屋。
法規を熟知。
避難広場。
有名な空き家。
遊び心。
陸奥宗光旧別邸。
栗田 幸一(くりた・こういち)
建築家、株式会社栗田建築事務所所長、(一社)東京都建築士事務所協会台東支部支部長、編集専門委員会委員長
東京浅草生まれ/祖父、父と3代目/1970年 東海大学工学部建築学科卒業/1970〜74年 伊奈建築設計事務所/1975年 父の経営する株式会社栗田建築事務所入社し、現在に至る
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