人材力支援事業について
ベストマッチングを目指して
寺田 宏(東京都建築士事務所協会副会長、人材力支援事業運営委員会委員長)
4月16日開催の管理者向け職場マネジメントセミナー。
5月21日開催の、従業員向けモチベーションアップセミナー。
6月27日開催の第2回合同面接会。
リ・アーキネットのホームページ。
https://www.re-archinet.com/
 建築士が社会に果たす役割は、まちづくりや既存建物診断、リノベーションと近年ますます大きくなっています。
 一方で、実務として建築設計監理業務を行っている建築士の総数は把握できないのですが、建築士事務所に所属する一級建築士の人数を見ると、平成29(2017)年で50歳以上が約60%を占め、また一級建築士の学科試験の受験者数を見ると、この10年間で40%減少しています。このことから高齢化と業務に従事する建築士の実数の減少が想定できます。
 期待される業務は増加する一方で実人数は減少している。この状況に対処するには建築士という職種への希望者を増加させるとともに、現在の資格保有者が活躍できる職場への構造改革が必要です。特に建築士合格者の女性比率は約25%ですが、働く女性の比率はいまだに低い状況です。資格は持っているが職場から遠ざかっている女性建築士の存在がうかがえます。
 そのため、当協会ではアデコ株式会社とピーシーアシスト株式会社とでコンソーシアム(建築士事務所業界コンソーシアム)をつくり、休眠する「人財」が第一線で活躍していただくための復帰人材の後押しをする事業を、東京都、(公財)東京しごと財団の支援のもとに実施しています。
 この事業には3つのポイントがあります。
 第1のポイントは復職を望む「人財」に対して遠ざかった間のノウハウをキャッチアップする学習を提供することです。第2に、受け入れ企業側へも就業規則の見直しや職場・雇用の環境改善などの支援を行います。第3に、双方に安心のある求職・求人のマッチングの場を提供することです。
 昨年(平成29/2017年)12月より開始した本事業は本年7月現在、54社の企業に参画いただき、受け入れセミナー等を受けていただくとともに、約50人の方が復職のために学んでいます。4月よりインターネット上では「リ・アーキネット」として求人ページも開設(https://www.re-archinet.com/)、この6月より合同面接会を開始しました。
 本事業のもっとも価値あるポイントは、このベストマッチングを目指して取り組んでいることにあります。
 現在多くの場面でリカレント(recarrent)教育が実行されています。リカレントとは「回帰する、循環する」という意味で、広義には社会人が人生の途上でさまざまなかたちで学ぶことを意味します。リカレントを実践するとともに、社会でその実力を活かしていただくための機会とその巡り合せの場を創出することが目標です。建築設計界の継続的な発展を目指してベストマッチングまでを協会としては実施しています。
寺田 宏(てらだ・ひろし)
東京都建築士事務所協会副会長
1956年 大阪府生まれ/京都大学大学院修士課程(建築学専攻)修了/1980年清水建設株式会社入社、清水建設株式会社一級建築士事務所/現在、同建築営業本部副本部長/中央支部
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