私の休日 ⑬
秩父三十四所観音巡礼 その2
瀬尾 敏明 (東京都建築士事務所協会渋谷支部副支部長、一級建築士事務所株式会社ソア)
結願の水潜寺。
歌枕。
 桜満開の平成29(2017)年4月16日から始まったこの巡礼も、霧雨降る10月15日の半年を持って結願しました。このレポートは『コア東京』2017年7月号の続きです。
 巡礼の記録は以下の通り。▶第4回:6札所(23、22、21、20、19、12番)、距離7.54km、高低差103.27m、歩数9,044歩。▶第5回:4札所(26、27、28、29番)、距離7.75km、高低差126.70m、歩数8,474歩、電動アシスト自転車、サイクルトレイン利用。▶第6回:補巡14札所(1、2、3、18、19、20、21、22、23、29、28、27、26、12番)、距離48km、高低差126.70m、歩数7,675歩、レンタカー利用。▶第7回:7札所(24、25、30、31、32、33、34番)、距離86km、高低差156.54m、歩数5,425歩、レンタカー利用。
 第4回までは徒歩でしたが、第5回は年齢と体力に配慮して電動アシスト自転車を借り、自転車ごと乗り込める秩父鉄道サイクルトレインを利用しました。とはいえ26番札所の200余段の階段のある奥の院への参拝は楽ではありませんでした。
 第6回は「補巡」と称して所用で参拝できなかった人がいた14の札所をレンタカーを借りて巡礼しました。26番札所は上述の通り、27番札所も高いところに護国観音が鎮座していてたいへんでした。
 当初、第6回以降は山岳コースのため3回に分ける予定でした。しかしその1回目が雨天で中止となってしまい、補巡の14の札所と残りの7札所をどのように打っていこうか思案していた中、突如、人目をそばだてる容姿の巡礼女子「巡子さん」が参入。巡子さんの参入によりあっさりと全員一致でレンタカー利用にまとまりました(巡子さんは観世音菩薩の権化かも……)。
 第7回は秩父の山肌が霧雨で煙る中決行しました。荒川の左岸から右岸へ、そして左岸の山中へと巡り、参道を登って、線香をあげ、写経を納め、お賽銭をあげ、読経し、それから御朱印をいただきます。そこそこ時間がかかりますが、時間を読みながらほぼ予定通り15時過ぎに見事に結願しました。
 第7回の7札所にはこれまでのお札ではなく写経をお納めようと、第6回時に購入した写経用紙にそれぞれが予め書き上げて用意していました。般若心経は経題の「仏説」2字に、「摩訶」で始まり「般若心経」で終わる276字を加えると278字となり、写経にはたっぷり1時間かかります。相当集中しますから1日1枚書き上げるのがやっとで、7枚の写経に7日を費やすわけですが、仕事を終えてから写経はけっこうきついもので、これも修行と思いました。なお、結願の読経はゆっくりとしっかり合せようと……。心に残る読経でした。
 振り返えると、街中の札所は比較的楽でしたが、ひとたび山岳に入るとお堂や奥の院は遥か上の方に懸崖造りで建てられていて、この登り降りが半端ではありません。ほとんどは参拝しましたが、32番札所の奥の院とお船観音だけは小雨により狭く険しい山道を行くことを断念しました。帰りがけに遥拝所で見上げたところ、あまりに高いところにあるので断念してよかったと……。
 前回同様、それぞれの札所や巡礼道には趣きがありました。そこで四苦八苦して拙句を四句詠みました。

 巡拝や経本に落つ玉の汗
 禅寺の参道染める曼珠沙華
 秋霖に露座の観音洗われて
 結願の湯に浸るや初紅葉

 結願の34番札所水潜寺の参道入口に「日本百番結願霊場」と刻まれた大きな石塔が立っています。百番とは、西国三十三観音、坂東三十三観音、秩父三十四観音の百観音の結願のことで、全国にはまだ多くの霊場があるようです。
 秩父三十四観音を無事結願することができましたことを5人の巡礼者の皆様と、観世音菩薩、巡子さんに心より感謝します。
 さて、次の巡礼は……。
瀬尾 敏明(せお・としあき)
東京都建築士事務所協会渋谷支部支部長3期、一級建築士事務所株式会社ソア代表取締役
1949年 栃木県大田原市生まれ/日本大学理工学部Ⅱ部建築学科中退/一級建築士事務所株式会社ソア設立 現在38期
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