「逸品」を語るとき、必ず「不思議な縁」を感じます。
ことのいきさつは、あるお寺さんの庫裡の設計から始まります。設計が終わり納屋の解体準備のため中を覗くと、ホコリまみれの板とおぼしきものがうず高く積まれているのが目に入りました。住職曰く、大戦前にケヤキ並木の大木が供出で切り出され、納屋にあった板は、本堂回廊のために保管してあったとのこと。ホコリと汚れで表面が黒くなっており、白太部分を触ると乾燥でボロボロ崩れる状態でした。板の素性が分からないまま譲り受け、馴染みの家具屋さんへ持ち込み保管してもらい、板に割れなどの欠点がなければ自家用家具をつくろうかと、図面を引いてみました。家具屋さんが板の表面を削ってみたところ、野に育ったケヤキなので木目は詰んでいないが素直な木であるとのことでした。
蝶々と目地棒はローズウッドで、意匠的に付けたものです。天板裏面には記念に創作した家具屋さんの名前が記されています。
ことのいきさつは、あるお寺さんの庫裡の設計から始まります。設計が終わり納屋の解体準備のため中を覗くと、ホコリまみれの板とおぼしきものがうず高く積まれているのが目に入りました。住職曰く、大戦前にケヤキ並木の大木が供出で切り出され、納屋にあった板は、本堂回廊のために保管してあったとのこと。ホコリと汚れで表面が黒くなっており、白太部分を触ると乾燥でボロボロ崩れる状態でした。板の素性が分からないまま譲り受け、馴染みの家具屋さんへ持ち込み保管してもらい、板に割れなどの欠点がなければ自家用家具をつくろうかと、図面を引いてみました。家具屋さんが板の表面を削ってみたところ、野に育ったケヤキなので木目は詰んでいないが素直な木であるとのことでした。
座卓
W1,300mm×D800mm×H330mm、厚さ45mmの3枚接ぎです。足は収納時に邪魔にならないように、天板とφ7mmのボルトで締めて取り外し可となっています(納まりは建築の発想)。蝶々と目地棒はローズウッドで、意匠的に付けたものです。天板裏面には記念に創作した家具屋さんの名前が記されています。
ダイニングテーブル
W1,360mm×D750mm×H700mmの4枚接ぎです。堅牢につくられているので、来客の人数が増えた時には別誂えの大きな天板W1,700mm×D850mmを載せて使っています。後ろの食器棚は造り付けで両面使えるようになっており、裏側はキッチンです。
居間のセンターテーブル
ジョージ・ナカシマのデザインを模してつくったものです。家具創作は建築とはまた違った楽しさがありますね。
これらの家具も、我が家に来てから33年ほど経っています。
関東長火鉢
W840mm×D450mm×H420mmのケヤキ造りです。知り合いの道具商から購入したお気に入りです。妻側には玉杢目が綺麗に出ています。縁材は黒柿です。普段はガラス天板を載せ、花台にしていますが、炭を入れて茶釜を沸かすこともできます。若い世代には絶えてしまう道具のひとつかも知れません。伝えていきたいものですね。
富永 彦文(とみなが・ひこふみ)
建築家、(有)富永建築設計事務所、東京都建築士事務所協会西多摩支部
1947年北海道生まれ/1975年 (有)富永建築設計事務所設立、同年 東京都建築士事務所協会西多摩支部入会/1983〜88年 同副支部長/1999〜2002年 同支部長
1947年北海道生まれ/1975年 (有)富永建築設計事務所設立、同年 東京都建築士事務所協会西多摩支部入会/1983〜88年 同副支部長/1999〜2002年 同支部長