武蔵野・耐震フォーラム:震災の現場からの教訓
北部支部
奥山 安雪(東京都建築士事務所協会北部支部)
邑上守正武蔵野市長の挨拶。
中谷満さんの講演に聞き入る市民の皆さん。
ゆるキャラと。
 2016年1月31日(日)JR武蔵境駅前の「武蔵野スイングホール」にて、第4回武蔵野・耐震フォーラムが開催された。
 この催しは市民の耐震への関心を高めることが目的で、武蔵野市役所都市整備部住宅対策課が3年ごとに開催しているが、そこに東京都建築士事務所協会北部支部が協力をしている。
市民に立ち寄ってもらう工夫
 北部支部はこの催しの中で、住宅耐震無料相談や子供向けの工作を担当。また室内に木造軸組みを設置し、同時に耐震金具を陳列した。さらに来場者に「耐震クイズ」を出して耐震の知識を学んでもらった。講演など、堅苦しい催しだけでは市民に足を運んでもらうのは難しい。気軽に立ち寄ってもらえるように工夫を凝らした。また武蔵野市でも邑上守正市長の挨拶で開会した後、3体(?)の「ゆるキャラ」を登場させ、親子連れにも参加してもらえるように和やかさをアピ-ルをしていた。
 そのような中で、神戸市生田消防署消防係長の中谷満氏を招いての「阪神・淡路大震災 現場活動からの教訓」の特別講演が行われ、震災の現場で指揮を執った経験から得られた教訓を話していただいた。
まず家を丈夫に
 中谷氏は、震災の記憶を風化させまいと、各地で被害状況を伝える講演を続けている。講演は1時間半であったが、実際に現場で指揮したということで、来場者は固唾をのんで聞き入っていた。
「震災当日、消防署に当直で勤務していた。椅子に座っていた時に縦揺れが10回以上あり、その後に横揺れがあった。当直で仮眠していた署員はいったい何がおこったかと呆然としていた。起きていてもすごいので、地震に対する感じ方が違うと思った」。
 「震災では火災による被害も大きく、火災で全焼した建物は7,000棟近くにのぼった。強風が吹いたならもっと被害があったであろう。火災による被害の原因はいろいろあったが、住宅では仏壇のローソクの火によるものがあった。しかしガスについては、ガス会社が元をいち早く閉めたために大きな被害には至らなかった」。
「木造では古い建物が多かったせいか被害が大きく、倒壊した2階建てでは多くの1階にいた人が亡くなった。その内の8割がお年寄りであったが、2階にいた人は助かっていた。また、RCの建物の中にいて逃げられなかった人がいたが、亡くなる人は少なく、他にはプレハブの建物は屋根が軽いせいか知る限りは潰れていなかった」。
「大地震では家の倒壊がなければ助かる確率が大きいといえる。街は建物の倒壊と瓦礫で道が塞がれ、救出活動が困難であった。そのようなことからも、まず家を丈夫にしておいた方がいい。さらに震災に備えた備蓄も大切だが、地震の際に慌てない心の備えが大切です」と話を締めた。
最後にEディフェンスでの建物の震動破壊実験の映像を流し、改めて震災の怖さを知ってもらった。来場したおよそ80名の市民は、耐震に対する意識を高めたようだ。
奥山 安雪(おくやま・やすゆき)
建築家、建築設計アトリエ80主宰、東京都建築士事務所協会北部支部
1953年生まれ/野地建築設計事務所を経て1980年に独立/趣味は「書道」と「躰道」という武道