第1ブロック会と新年会
第1ブロック
玉腰 徹(東京都建築士事務所協会千代田支部)
「東京芝とうふ屋うかい」の中庭から見上げる。
 暖冬の年末年始から一転、冬将軍がいよいよ到来した週の2016年1月19日に、虎ノ門の「航空会館」会議室で第4回となる東京都建築士事務所協会第1ブロック会が開かれた。
 主だった議事は、まず、西倉努東京都建築士事務所協会会長代行から「空き家対策」について東京都と本部で近く協定を結び他団体も加え勉強会を行う運びとなったことが報告され、小田圭吾第1ブロック担当理事からの本部活動報告、杭問題に絡む工事監理の重要性やデザインビルドに対する情報交換の様子が伝えられた。続いて建築ふれあいフェア特別委員の選出を行い、最後に小田理事より基準法第12条関係改正に関する案内を受けた。
新年会
 会議後、幹事支部である港支部のお膝元の芝公園、東京タワー真下のとうふ会席料理店「東京芝とうふ屋うかい」(港区芝公園)で第1ブロック会の新年会が開催された。本部からは会長代行はじめ理事3名、港・中央・新宿・千代田の4支部から各支部長・役員14名、総員17名の出席で盛会となった。
 新年会の会場は港支部の粋な計らいによるもので、全員の顔が一気にほころんだことはいうまでもない。実は、千代田支部では「東京スカイツリー」開業の年(2012年)、温故知新と銘打ち、早稲田大学の山田眞教授を講師に、内藤多仲博士と日建設計による「東京タワー」(日本電波塔、1958年竣工)の見学研修会を行ったことがある。その際、この「東京芝とうふ屋うかい」(2005年竣工)での懇親会を思い立ったが、その時は実現しなかった。
 約2,000坪の敷地に中庭を囲むように伝統木造の建物群を巧みに配置し、尺角以上はあろうかという柱に、ところどころに配された土壁と障子の端正な白。堂々たる牛梁と縦横に組まれた小屋組が見るものに迫る。窓外に拡がる夜の緑が優しく人びとを包み、何とも安らかな気分に浸れる空間である。移築を中心に古材を継いだ巧みな設計は、当会八王子支部の桂田設計一級建築士事務所のお仕事と伝え聞いた。
 こういうお仕事をなさる方が同じ会員であることは誇らしい限りである。この地に立つと、近代化のひとつの到達を示す電波塔があり、その真下にはわれわれのDNAを揺さぶって止まぬ和の空間が拡がり、さらには眼下に徳川家の菩提寺、増上寺がある。誠に多様性の文化の坩堝である東京を実感する。
 振り返ればわが業界では、思わぬことから施工の不備、特に施工管理・設計監理の不手際が次々と発覚し、未だに落着したとはいえない状況にある。今回の問題も、実は大企業の会計不祥事や食品廃棄物の不正、やりきれぬバス事故の背景と同根の経済事犯であり、利益至上の末に辿り着いた現場の空洞化と思う。
 われわれ建築士事務所は、徒に規則や法律に縛られる前に、厳しく自己を見つめ真面目に仕事に励み、今年こそ、年の瀬に「安」の一字を記せる凛とした1年としたいものである。
玉腰 徹(たまこし・とおる)
株式会社司構造計画 一級建築士事務所 常務執行役員・管理建築士、東京都建築士事務所協会千代田支部 副支部長
1955年 岐阜県生まれ/1978年 日本工業大学工学部建築学科卒業/一級建築士、構造設計一級建築士、構造計算適合判定資格者