年頭のご挨拶
千鳥 義典(一般社団法人東京都建築士事務所協会会長)
 あけましておめでとうございます。
 会員の皆様ならびに賛助会の皆様には日頃より当協会の活動にご協力いただき感謝申し上げます。
 コロナ禍もようやく沈静化し、3年ぶりに正常な状態で新年を迎えることができます。昨年5月の5類感染症への移行を契機に、理事会や各委員会の活動も通常に戻り、定時総会や建築ふれあいフェア等のイベントも関係の皆様の努力によりコロナ前の形で実施することができました。
 建築士事務所を取り巻く環境は厳しさを増しています。GXを背景とした法の改正、DXによる業務の効率化等の施策は急速に進んでいます。また、昨今の技術者・技能者の担い手不足や建設工事費の急激な高騰の影響は顕著です。建築士事務所の業務は年ごとに多様化、複雑化し増大しています。このような環境の中で、私たちは業務の「質の確保」と「効率化」の両立を図るとともに、働き方を見直しワークライフバランスを実現する必要に迫られています。
 今年は国交省告示第98号の業務報酬基準が改定されます。この改定が経営の安定と適正な業務の遂行に繋がることを期待します。今後は、改修工事やBIM化に関する業務量の把握と業務報酬基準への適時な反映が課題です。
 昨年の理事会で承認された「中期事業計画」および「実行計画」のもと、現在各委員会で来年度予算と実現のための方策を検討しています。協会の持続的発展のために「限られた経営資源で大きな成果」を目差します。
 社会課題への取り組みでは、これまでの耐震化に加え「(仮称)大規模修繕相談室」に窓口を開設して、マンションをはじめとした大規模修繕問題に対処します。さらに設計・監理へ繋げる実効性のある仕組みを検討します。ほかに東京都が実施する既存マンション省エネ・再エネ促進事業の相談窓口が稼働しています。そして、全国的に大きな社会問題となっている空き家対策については新WGを設置し取り組みます。
 業務のデジタル化は緊急かつ重要な問題です。登録センターでは新規申請に加えて1月から更新・変更・廃業・業務報告書もオンライン化されます。BIMによる確認申請業務は令和6年3月から開始されるため、対応が急がれます。また、近く理事会・委員会での資料配布を電子化します。
 東京建築賞は今年から審査委員長が古谷誠章氏に替わり、赤松佳珠子氏と手塚由比氏が新たに審査員に加わります。新しい審査陣によって、時代の要請や社会の課題に応え地域に貢献する建築が選定されるでしょう。楽しみです。
 建築ふれあいフェアは、当協会と一般の方々との接点となる貴重な機会です。みんなで参加し楽しめるイベントとしてその意義・目的・効果を検証して、新たなプログラムで開催します。
 青年部会は当協会が中心的役割を担って、日事連・関東甲信越ブロックの青年委員会立上げに尽力しています。他県の青年部会との意見交換を通して円滑な実現を目指しています。
 昨年の日事連・全国大会で女性交流会が正式なプログラムになりました。これを受け、当協会でも女性会員意見交換会を催します。今年の全国大会では主導的役割を果たすことを期待しています。
 マネジメント支援センターは会員サービスを順次整備中です。
 現在、協力事務所マッチングサービスのシステムを制作中です。また、昨年日事連が全国中小企業団体中央会に加入したことにより、労務リスクに備えた業務災害補償制度、休業補償制度等への加入が可能となりました。今後も有益な会員サービスを整備して会員メリットの向上を図ります。これを一端として会員増強を推進し、財務の健全化に繋げます。
 当協会の明るい未来に向けて、今年も歩みを止めることなく、積極的に活動に取り組んでいきましょう。結びに、本年の皆様のご活躍とご健康を祈念申し上げ、私の年頭の挨拶といたします。
千鳥 義典(ちどり・よしのり)
東京都建築士事務所協会会長・新宿支部、日本設計株式会社 1955年 東京都生まれ/1978年 横浜国立大学工学部建築学科卒業/1980年 同大学大学院修了/1980年 日本設計入社/2013年 代表取締役社長/2020年 取締役会長/2023年 最高顧問/新宿支部