台東区災害ネットワーク専門職会議（以下台災ネット）は、東日本大震災などを契機に、平成24（2012）年6月、台東区法曹会の呼びかけにより設立された。災害時における多様な区民の相談に、地域の専門家がチームで対応する必要性を感じた台東区内の各専門職士業が集まり、同年11月、台東区との間に「災害時における特別法律相談に関する協定」（令和5/2023年3月、「災害時における特別区民相談に関する協定」に改正）を締結した。専門職士業が互いに連携協力し、災害時に備えるための訓練として、年2回の定例会議、運営会議、下町よろず相談会を開催している。 　記念式典は、竹山文実行委員長（東京都社会保険労務士会台東支部長）より、準備期間の経緯と、台東区、関係団体および実行委員等に対する感謝、本会の意義、役割、将来への期待などが述べられ、開会が宣言された。
　江口十三郎台災ネット代表委員（台東区法曹会）が、来賓及び本会構成員等の出席に関する謝辞と、本会設立10周年を迎えたことに対する感謝を述べ、次に、台災ネットの設立の経緯を振り返り、今後の台災ネットの展望を語る契機にするという本会の趣旨を語った。そして、これまでに起こった大災害に触れつつ、台災ネットにおいて災害に対する備えを継続していくことを明言した。
　来賓として出席いただいた方々の中から、服部征夫台東区長、髙森喜美子台東区議会議長、岡田一将上野消防署長、髙岡信男災害復興まちづくり支援機構代表委員に、それぞれ祝辞をいただいた。服部台東区長からは、「災害時における特別区民相談に関する協定」の実行に備えるための「よろず相談会」等への謝辞、高岡災害復興まちづくり支援機構代表委員からは、災害時における士業の連携、罹災証明書の重要性、災害に関する研修の重要性などについて話をされた。
　引き続き、台東区災害ネットワーク専門職会議の10年に渡る活動につき、服部征夫台東区長より江口十三郎代表委員に感謝状が贈呈された。
　畑克海実行副委員長（台東区法曹会幹事長）から大会宣言が読み上げられ、立ち上げの経緯と目的に続けて「これからも個々の専門職において専門領域の知識の獲得や研鑽に励むとともに、各団体間の連携を密にし、災害時に役立てる存在であり続けることをここに宣言します」と結んだ。出席者からは賛同の意を得た。 　村岡英明台災ネット代表代行委員（東京税理士会浅草支部）より、台災ネットの10年間を祝し、その発展を記念する乾杯の挨拶があった。
　壇上では「レジェンド座談会」と題して、台災ネット設立当初に関与されたパネラーによるパネルトークが行われた。江口代表委員が進行役となり、東日本大震災の被災者への法律相談が気づきのきっかけになり、緊急性を意識して設立に尽力したこと、多職種によるワンストップの相談体制を整えることの意義などが熱く語られた。また設立当初、各士業の文化の違いの調整、会則作成、京成上野駅構内での最初の「よろず相談会」など、さまざまな思い出も、会場をつつむ笑いと共に語られた。
　レジェンド座談会は第3部まで行われ、第3部では会場の台災ネット構成員に質問形式で、これからの台災ネットの活動について、さまざまな視点からの展望が語られた。
　最後に、東京都建築士事務所協会台東支部の大原正昭氏が、台東区には情熱、思いやり、団結が満ち溢れているように、台東区災害ネットワーク専門職会議もまた団結、チームワーク、フットワークが素晴らしいと述べられ、今後の精進を誓いつつ、三本締めにて閉会された。 　毎回各士業による息の合った「よろず相談会」が行われているからこそできた行事で、改めて素晴らしいチームワークであった。また顔見知りも新しいメンバーもいて、新しい息吹きと前進力を感じることができた。各士業が協力して災害に備え活動をすることは、単独の士業ではできない素晴らしいパワーを生み出している。今後も私は、建築士として、この連携に寄与するよう力を注いで行きたいと思う。 台東区法曹会、東京司法書士会台東支部、東京土地家屋調査士会台東支部、（一社）東京都建築士事務所協会台東支部、東京都社会保険労務士会台東支部、東京都行政書士会台東支部、東京税理士会上野支部、東京税理士会浅草支部、台東区中小企業診断士会、（公社）東京都不動産鑑定士協会