東京消防庁からのお知らせ
消防用設備等の設置のあり方に係る予防事務審査・検査基準の改定について 消防用設備等を設置する範囲の明確化②
図❶ 審検の改定概要
はじめに
 東京消防庁(以下「当庁」)では、建築物の防火性能向上のために「予防事務審査・検査基準」(以下「審検」)を定めています。今般、消防用設備等の設置のあり方について検討し、審検を改定しました。5月号に引き続き、改定内容について、消防用設備等を設置する範囲の明確化のうち、特例で消防用設備等の全部または一部を免除する部分をご紹介します(図❶)。
図❷ 消防用施設等の特例基準
消防用設備等の特例基準
 消防用設備等の設置を要する部分のうち、当該部分の構造等により、火災の発生または延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最小限度に止めることができると認められる部分に適用できる特例を新たに定めました。
 特例①から⑤までは、防火対象物のうち直接外気に開放されている部分、特例⑥は中間免震層等の部分、特例⑦は建築基準法令上、階数に算入されない階の部分にそれぞれ適用することができます。詳細は、図❷をご確認ください。

 特例①は、主に通行の用に供するピロティ等に適用できる特例です。この部分は、外気に十分開放され、火災発生の危険性が低いことや、避難が容易であることから、すべての消防用設備等の警戒を要しないものとします。ただし、荷待ちのための駐車スペースは、建築基準法令上床面積に算入されない場合であっても、特例①を適用することができません。
なお、駐車スペースには、要件を満たせば特例②を適用することができます。

 特例②から④の要件となっている「外部の気流が流通する場所」は、前回ご紹介したスプリンクラーヘッドや自動火災報知設備の感知器の設置を要しない部分であり、外気に十分開放され、内部への延焼拡大の危険性が低いことから、特例を適用できる部分としました。

 特例⑥は中間免震層を対象にした特例で、可燃物の集積がなく、延焼拡大の危険性が著しく低いことから、原則すべての消防用設備等の警戒を要しません。人がみだりに立ち入ることができる形状のものや、避難経路となっている部分は、警戒が必要となりますが、すべてではなく一部の消防用設備等で足りることとします。

 特例⑦は建築基準法令で階数に算入されない塔屋や地下ピット部分を対象にした特例で、基本的に小規模で、当該部分の用途が限定されており、火災の被害が最小限にとどまることから、階に必要な消防用設備等の設置を免除するものです。ただし、上下階から規定の歩行距離内または警戒範囲内に消防用設備等を設置することが求められます。

次号は、消防用設備等の設置の要否を判断する要素の明確化から、防火対象物の床面積等の算定、消防用設備等の設置にあたっての階の取り扱いについてご紹介いたします。

 改定に関する解説資料は下記からご覧いただけます。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jimukensa/index.html
カテゴリー:建築法規 / 行政