「コア東京Web」始動
栗田 幸一(東京都建築士事務所協会 編集専門委員会委員長)
『コア東京』の財産
 『コア東京』は、一般社団法人東京都建築士事務所協会(東京会)の情報発信誌として1979(昭和54)年1月に創刊され、36年もの長きにわたり発刊されてきました。一部関係諸団体にも配布されていますが、主に会員向けとして、東京建築士事務所協会の会員諸氏に親しまれています。
 近年、本誌にもデジタル化の波が押し寄せてきて、一部会員からは『コア東京』不要論まで聞かれるようになりました。情報が遅い、読みたくなる記事が少ないという声に対して、編集専門委員会では、会員に役立ち、読みたくなる会報誌に向けて、会員の仕事に役立つ情報を充実させ、本誌の速報性を高めることや、協会ホームページとの連携なども検討し、努力を重ねてきました。
 しかし今年3月号までは、委員各自が原稿の「てにをは」までチェックするという事務処理が多く、内容や、これからの方向性については、考えてはいてもそれを実施することが不可能な状況にありました。ただ、その中にあっても、東京会の情報発信を会員のみでなく、より広い世界に向けて行おうという希望も捨てませんでした。
 本部9階のロッカーの中には創刊以来の『コア東京』の合本が眠っています。この財産を会員の皆様のみでなく、世界へ向けての情報として活用しようとの結論に至りました。
 『コア東京』には「東京建築賞」という素晴らしい財産も含まれています。建築賞はその創刊より早く1975(昭和50)年につくられ41年の歴史があります。この資産(遺産?)を世界の皆様に見て感じていただく手段を模索してきました。
「コア東京Web」の創設
 創設の経緯は本誌4月号の「『コア東京』新装オープンの経緯」にも記されているように、「編集専門委員会が誌面情報媒体の『コア東京』で作成・編集した情報を、電子情報媒体である『コア東京Web』からも発信することとし、編集専門委員会が両媒体に載せる記事の作成・編集の担い手になる」というアイデアから生まれたものです。このウェブサイトは東京会のオリジナルの情報を発信します。どこにもないオリジナルです。
 誰でも無償で閲覧可能で、その内容は検索可能ですから、建築主(クライアント)や、関連士業の方、行政及び議員の方が閲覧して下さる可能性も秘めています。
 一般訪問者が増えることにより、まだまだ広く社会に知られているとは言えない「建築士事務所」が、都民の方々に認知されていくでしょう。
 会員でない建築士事務所の方も、本会の良さを体感可能になることから、触発された建築士事務所が会員として本会に参画する可能性もあります。
新しくなった『コア東京』の表紙と、「コア東京Web」のロゴタイプ。
紙媒体とウェブのそれぞれの特徴を活かした連携を目指す。
「コア東京Web」に参加を
 「コア東京Web」の内容は次の通りです。
① 『コア東京』のデジタルアーカイブズ:『コア東京』のデジタルアーカイブズとして、『コア東京』から公開に適したものを選び掲載します。
これにより、連載記事の掲載が誌面の都合で飛び飛びになって読み通せなかったものが、連続してお読みいただけます。
もう一度読みたい記事・原稿が、検索により簡単に探せるようになります。
② 東京建築賞受賞作品を閲覧可能に:本会会員による東京建築賞受賞作品を閲覧可能とします。
受賞作品は東京を、そして日本を代表するものですから、オリジナリティに溢れた厚みのあるアーカイブズとなります。英語による発信も目指しており、それが実現すればまさに世界に向けた発信となります。
③ コントリビューターによる独自記事の発信:ウェブ独自の記事を東京会会員各位から募集し(掲載可否を編集委員会で判断しますが)「コア東京Web」に掲載します。
寄稿者を「コントリビューター(CB)」と呼ぶことにします。CBは誰でもなれますが、まず各支部にお願いしている「支部編集委員」の方になっていただきます。『コア東京』記事に対応した追加情報、事例紹介などが集まれば、これも特集として発信していきます
トップページの全体イメージ(内容はダミーです)。右側に新着記事や注目記事のリストが表示される。記事タイトルをクリックすると、内容を表示。
記事の内容を表示した状態(部分)。右側には関連記事が表示される。その下はメニューエリアで、コア東京バックナンバ−、寄稿者一覧、作品一覧にアクセスできる。
栗田 幸一(くりた・こういち)
東京浅草生まれ/祖父、父と3代目/1970年 東海大学工学部建築学科卒業/1970〜74年 伊奈建築設計事務所/1975年 父の経営する株式会社栗田建築事務所入社し、現在に至る/(一社)東京都建築士事務所協会台東支部支部長、編集専門委員会委員長