私たちの職業は行政庁との関わりがあり、特に建築確認申請手続きでは、何かにつけて行政のお世話になっていることは論を俟たない。
東京都建築士事務所協会法制委員会では、以前から行政の考え方、方針にはいつも関心を持っており、調査、研究の対象としてきた。
アンケート調査は以前にも試みたことであるが、今年度(平成26年度)も、行政庁の建築確認審査基準と検査基準の調査に伴うアンケートを実施したところ、東京都建築士事務所協会会員と行政の皆様のご協力により、31の行政庁から回答を得ることができた。
会員にとって非常に興味深い回答であり、各行政庁の特徴、注意点も分かるので、日ごろ建築確認・審査手続きに関わる業務を行っている方々にとって、便利な資料としてご覧いただけるのではないかと思う。
この法律の第5条に「審査基準」という項目があり、
1. 行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準(以下「審査基準」という)を定めるものとする。
2. 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3. 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。と定められている。
この法律は、審査する側と審査を受ける側の公平性を図り、審査基準を公にすることにより、今まで起こったさまざまな障害を取り除くことができる画期的な法律である。審査基準を内緒にして、聞きに行った人だけに教えるといった弊害、不公平性をなくす効果が期待できる。
行政手続法が審査基準の策定を義務付けているにもかかわらず、未だにそれを守っていない行政庁があることは驚きである。行政は国民には遵法を訴えておきながら、自分たちは守らない傾向がある、と言わざるを得ない。それが明らかになった点でも、今回のアンケート調査は重要な意味があった。
民間と行政の違いに、民間は現地調査を行わないのに対して、行政庁は現場を確認し現地の状況を調べることがある。現地調査により敷地と道路の関係など具体的な問題が浮かび上がってくることがある。また、民間と行政の大きな違いは、事前審査をするかしないかである。民間は事前審査をすることにより、確認審査の効率化を図ることができる。
民間と行政の審査には一長一短があり、今後の改革を待ちたい。
以上が、今回法制委員会が主に各支部長の皆様にご協力をいただき調査を行った結果の要点である。
この調査が、会員の皆さんが審査基準により興味を持っていただく契機となり、また日ごろの業務の建築確認申請に少しでも参考になれば幸甚である。ご協力いただいた法制委員会の皆さん、支部長の皆さんに厚くお礼申し上げたい。法制委員会は、今後も会員の皆様の仕事に役立つ調査など、さまざまな活動を展開していく所存である。
【質問項目】
質問❶ 建築確認について
a. ここ3年間の確認申請取り扱い件数について教えてください。
(昇降機、工作物は含まず、計画変更は1件と考えます。指定確認検査機関分は含みません)
b. 最近の確認申請の取り扱い件数の傾向について、教えてください。特徴的なことがあればご記入ください。
c. 民間確認機関との違いについて、教えてください。
貴行政庁での特徴的なことがあればお書きください。
d. 建築確認に要する平均的日数で、調査結果があれば教えてください。
e. 確認申請審査に当たりいちばん配慮しているポイントを教えてください。
f. 建築確認申請を提出する設計事務所にいちばん留意して欲しい項目は何ですか。
質問❷ 審査基準について
a. 貴行政庁では審査基準を成文化していますか。
b. していない行政庁では成文化される予定はありますか。
c. 貴行政庁では審査基準を公開していますか。
d. 審査基準の運用について、民間審査機関との違いについて。特徴的なことがあればお書きください。
質問❸ 建築確認制度で問題点
日頃、建築確認審査業務をなさっていて、特に問題と思われること、改善が必要と思われることがあればお書きください。
東京都建築士事務所協会法制委員会では、以前から行政の考え方、方針にはいつも関心を持っており、調査、研究の対象としてきた。
アンケート調査は以前にも試みたことであるが、今年度(平成26年度)も、行政庁の建築確認審査基準と検査基準の調査に伴うアンケートを実施したところ、東京都建築士事務所協会会員と行政の皆様のご協力により、31の行政庁から回答を得ることができた。
会員にとって非常に興味深い回答であり、各行政庁の特徴、注意点も分かるので、日ごろ建築確認・審査手続きに関わる業務を行っている方々にとって、便利な資料としてご覧いただけるのではないかと思う。
行政手続法における「審査基準」
平成6年に施行された法律で「行政手続法」という法律がある。行政法として私たちの設計活動にも大きな関わりのある法律であり、特に建築基準法の審査に関する基準として重要である。この法律の第5条に「審査基準」という項目があり、
1. 行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準(以下「審査基準」という)を定めるものとする。
2. 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3. 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。と定められている。
この法律は、審査する側と審査を受ける側の公平性を図り、審査基準を公にすることにより、今まで起こったさまざまな障害を取り除くことができる画期的な法律である。審査基準を内緒にして、聞きに行った人だけに教えるといった弊害、不公平性をなくす効果が期待できる。
審査基準を作成していない行政庁が
アンケートの結果(質問❷-a)を見ていただければ分かることだが、審査基準を作成していない行政庁があることを事実として確認できた。審査基準の明確化によってこそ審査の公平性が保てるものと期待されるので、「行政庁による建築関連の審査基準の策定」を今後の東京都建築士事務所協会の各支部活動の目標とすることが重要である。行政手続法が審査基準の策定を義務付けているにもかかわらず、未だにそれを守っていない行政庁があることは驚きである。行政は国民には遵法を訴えておきながら、自分たちは守らない傾向がある、と言わざるを得ない。それが明らかになった点でも、今回のアンケート調査は重要な意味があった。
行政庁での確認審査は減少傾向
合わせて建築確認についても調査を行った(質問❶ / 図❶)。その結果として、予想されたことではあるが、行政での確認審査は減少傾向にあり、民間の指定確認検査機関への移行が進み続けていることが判明した。民間と行政の違いに、民間は現地調査を行わないのに対して、行政庁は現場を確認し現地の状況を調べることがある。現地調査により敷地と道路の関係など具体的な問題が浮かび上がってくることがある。また、民間と行政の大きな違いは、事前審査をするかしないかである。民間は事前審査をすることにより、確認審査の効率化を図ることができる。
民間と行政の審査には一長一短があり、今後の改革を待ちたい。
「確認申請の留意点」を参考に
各行政庁に対して、確認申請の留意点について回答を求めている(質問❶-f)。これは、審査を依頼する側にとっては興味ある回答であり、東京都建築士事務所協会会員諸氏にとっても大いに参考になると思う。今後の確認申請の一助になれば幸いである。以上が、今回法制委員会が主に各支部長の皆様にご協力をいただき調査を行った結果の要点である。
この調査が、会員の皆さんが審査基準により興味を持っていただく契機となり、また日ごろの業務の建築確認申請に少しでも参考になれば幸甚である。ご協力いただいた法制委員会の皆さん、支部長の皆さんに厚くお礼申し上げたい。法制委員会は、今後も会員の皆様の仕事に役立つ調査など、さまざまな活動を展開していく所存である。
【質問項目】
質問❶ 建築確認について
a. ここ3年間の確認申請取り扱い件数について教えてください。
(昇降機、工作物は含まず、計画変更は1件と考えます。指定確認検査機関分は含みません)
b. 最近の確認申請の取り扱い件数の傾向について、教えてください。特徴的なことがあればご記入ください。
c. 民間確認機関との違いについて、教えてください。
貴行政庁での特徴的なことがあればお書きください。
d. 建築確認に要する平均的日数で、調査結果があれば教えてください。
e. 確認申請審査に当たりいちばん配慮しているポイントを教えてください。
f. 建築確認申請を提出する設計事務所にいちばん留意して欲しい項目は何ですか。
質問❷ 審査基準について
a. 貴行政庁では審査基準を成文化していますか。
b. していない行政庁では成文化される予定はありますか。
c. 貴行政庁では審査基準を公開していますか。
d. 審査基準の運用について、民間審査機関との違いについて。特徴的なことがあればお書きください。
質問❸ 建築確認制度で問題点
日頃、建築確認審査業務をなさっていて、特に問題と思われること、改善が必要と思われることがあればお書きください。
記事カテゴリー:建築法規 / 行政, 建築士と建築士事務所の業務