カナエル神奈川西支店
KINO architects
第43回東京建築賞一般一類部門奨励賞
建築主:
株式会社カナエル
設計:
株式会社木下昌大建築設計事務所一級建築士事務所
施工:
大出産業株式会社
所在地:
神奈川県秦野市
主要用途:
事務所、展示場
構造:
鉄骨造
階数:
地上2階
敷地面積:
1,252.76m2
建築面積:
383.51m2
延床面積:
407.57m2
工事期間:
2015年3月〜2015年11月
撮影:
中村 絵
設計趣旨:
 生活を支えるインフラとしてプロパンガスを供給するとともに、それをベースとしたリフォーム事業を展開する企業「カナエル」の支社兼ショールーム。敷地は郊外の住宅地を分断する国道沿い。民間企業の枠を超え、地域に根差した公共性のある建物となることを目指し、4つの「つなぎ」を提案した。
・家型が集まりひとつの建物をつくることで「分断された風景をつなぐ」
・家型が入れ子状にに重なることで「内外をつなぐ」
・使えるショールームと地場産木材の活用で「地域コミュニティをつなぐ」
・連なる屋根面を環境的に活用する事で「自然環境につなぐ」
(木下 昌大、石黒 大輔)
木下 昌大(きのした・まさひろ)
1978年 滋賀県生まれ/2003年 京都工芸繊維大学大学院修士課程修了/2003年 C+A/2005年 小泉アトリエ/2007年 KINO architects設立/2014年 京都工芸繊維大学助教
石黒 大輔(いしぐろ・だいすけ)
1984年 広島県生まれ/2010年 京都工芸繊維大学大学院修士課程修了/2010年 KINO architects
選考評:
 国道246号線に面して建つ、家庭向けプロパンガスと住宅リフォーム事業を展開する企業のショールーム兼オフィス。家型を模した企業CIから発想されたのだろう、3つの家型を組み合わせたエレベーションが印象的で、住設機器や住宅リフォームを通して住環境創造に関わる企業に相応しいデザインといえる。内部空間の形状が素直に家型の外形を構成し、訪れるものを自然に内部へと誘うフォルムとなっている。国道から見た夜景写真がたいへん美しい。また国道側と住宅街側で窓のデザインを変えることで周辺環境との調和に配慮している。
 シンプルで印象的な外観に比べると内部空間のインパクトは弱い。現しになった屋根ブレースや鉄骨母屋・梁などの処理にもうひと工夫があればと思う。せっかく地場産の木材を使うのであれば、屋根だけでも純木造にチャレンジして欲しかった。
 複雑な屋根形状は必然的に外皮熱負荷を増大させることになるので、屋根面への散水やナイトパージなどの工夫が取り入れられている。これら手法に省エネ効果があるのは間違いないだろう。ただし、実際の運用上の省エネ効果については通年消費エネルギーの計量など今後の定量的検証が必要と思われる。
選考委員|宮原 浩輔
宮原 浩輔(みやはら・こうすけ)
一般社団法人日本建築士事務所協会連合会理事、一般社団法人東京都建築士事務所協会理事
1956年鹿児島県生まれ/1981年東京工業大学建築学科卒業後、株式会社山田守建築事務所入社/現在、同代表取締役社長