大手町タワー / 大手町の森
大成建設
第42回東京建築賞一般二類部門優秀賞
建築主:
東京建物株式会社
設計:
大成建設株式会社一級建築事務所
施工:
大成建設株式会社東京支店
所在地:
東京都千代田区
主要用途:
事務所、ホテル、商業店舗、駐車場
構造:
地上:鉄骨造、地下:鉄筋コンクリート造、
一部鉄骨鉄筋コンクリート造
一部鉄骨鉄筋コンクリート造
階数:
地上38階/地下6階/塔屋3階
敷地面積:
11,037.84m2
建築面積:
5,795.89m2
延床面積:
198,467.44m2
工事期間:
2009年11月〜2014年4月
撮影:
三輪晃久写真研究所、ナカサアンドパートナーズ / 渡辺 琢哉
設計趣旨:
成熟した都市における都市再生型再開発
「大手町タワー」は、国際交流と金融ビジネスの拠点となるオフィス・ホテルの超高層ビルであり、「大丸有」という成熟した街の新たな都市基盤のシンボルである。本計画は大手町エリアの拠点として、諸外国の代表的な都市に比肩する質の高い市街地の形成に寄与し、国際的な地位、都市間競争力の向上に貢献し、都市環境の改善といった役割を担うことが期待された。
区域の賑わいの軸「丸の内仲通り」を大手町・神田エリアへ延伸させる基点として、東京の最も密度の高い都市空間に、従来の人工的広場整備と一線を画した「大手町の森」を整備した。3,600m2の森はヒートアイランド現象を緩和し、都心の緑のネットワークを形成する核となる。
また、タワーの地下には、地下鉄5路線のターミナル機能を持ち、地上と地下の歩行者ネットワークの核となる「プラザ」を整備した。200mの超高層直下でありながら地下2階から4層に吹き抜ける「プラザ」は、「大手町の森」と連続させることで、快適で安全・安心な都市の象徴的空間を創出している。
大手町タワーは、超高層ビルによる高度利用を図りながら、森とプラザの整備により都心に潤いと活気を与える、真の都市再生型再開発である。
(田口 晃)
田口 晃(たぐち・あきら)
1965年 千葉県生まれ/1990年 明治大学大学院修士課程修了後、大成建設入社/現在、同社設計本部建築設計第二部 設計室長
1965年 千葉県生まれ/1990年 明治大学大学院修士課程修了後、大成建設入社/現在、同社設計本部建築設計第二部 設計室長
蕪木 伸一(かぶらき・しんいち)
1959年 東京都生まれ/1981年 東京大学工学部建築学科卒業後、大成建設入社/現在、同社設計本部専門技術部長
1959年 東京都生まれ/1981年 東京大学工学部建築学科卒業後、大成建設入社/現在、同社設計本部専門技術部長
第42回東京建築賞選考評:
大手町エリアの中心に都市再生特区を適用した複合再開発プロジェクトとして、オフィス、商業、ホテルを一体化した複合ビルである。敷地は「大丸有」を貫通する大手町仲通りの終着点にあり、この仲通りをさらに延伸させて、大手町から神田へと連続させるための都市計画上の基点となり得る。都市環境の改善を最大のテーマに、この基点に約3,600m2に及ぶ空地を提供し、都市の真中に「大手町の森」と呼ぶ自然林を創生したことがこのプロジェクトの最大の特徴である。
武蔵野の雑木林をモデルにした植生による自然の森の構築手法によって、新しい都市のアメニティ、ヒートアイランド現象の緩和等に貢献している。なによりもオフィス街の憩いの場として、この緑が多くの人びとに癒しを与えてくれる。この森の空間が大きな開口部と吹き抜けによって地下鉄連絡通路と連結して都市動線へ大きな利便性を与えている。
さまざまな環境配慮技術を駆使してCASBEEのSクラスを確保し、上層部を構成するホテルとオフィス部分をメガトラス架構によって、異なる構造計画とするなど、スーパーゼネコンの技術力の総力を結集したプロジェクトである。
端正な外観ファサードや極めて高品質なインテリアのホテル等、日本を代表するオフィス街である大手町に立地するにふさわしい一級の建築作品である。
選考委員|岡本 賢
岡本 賢(おかもと・まさる)
建築家、一般社団法人日本建築美術協会会長
1939年東京都生まれ/1964年 名古屋工業大学建築学科卒業後、株式会社久米建築事務所(現・株式会社久米設計)/1999年 同代表取締役社長/2006年 社団法人東京都建築士事務所協会副会長/2014年 一般社団法人日本建築美術協会会長
建築家、一般社団法人日本建築美術協会会長
1939年東京都生まれ/1964年 名古屋工業大学建築学科卒業後、株式会社久米建築事務所(現・株式会社久米設計)/1999年 同代表取締役社長/2006年 社団法人東京都建築士事務所協会副会長/2014年 一般社団法人日本建築美術協会会長