三菱電機ZEB関連技術実証棟「SUSTIE」
設計|三菱地所設計
第49回東京建築賞|一般部門二類 奨励賞
建築主:
三菱電機株式会社
表彰建築士
事務所:
事務所:
株式会社三菱地所設計一級建築士事務所
施工:
株式会社竹中工務店
株式会社弘電社
三菱電機システムサービス株式会社
三菱電機冷熱プラント株式会社
株式会社弘電社
三菱電機システムサービス株式会社
三菱電機冷熱プラント株式会社
所在地:
神奈川県鎌倉市大船5-1-1
主要用途:
事務所
構造:
S造
階数:
地上4階
敷地面積:
85,131.18㎡
建築面積:
1,954.52㎡
延床面積:
6,461.34㎡
竣工:
2020年8月
撮影:
ヒロ・フォトビルディング
設計趣旨:
「SUSTIE」はZEB関連技術の実証、コミュニケーションの活性化、イノベーションの創出とさまざまな実証を目的としている。6,000㎡以上、4階建て中規模オフィスという当時のZEB建築を大きく上回る規模における設計時『ZEB』認証と、エネルギーの観点からは相反する点も多いWELL認証を、ともに最高ランクで取得するという高い目標を掲げたプロジェクトであった。日射負荷を抑えるため東西面は開口を最小限にし、北側に大きな吹き抜けを設けて自然光を建物内部まで取り込むことにより省エネ化を図り、WELLNESSの見える化、イノベーションを誘発するHubとして重要な機能も併せ持った空間として計画した。また屋根面積を確保することで、創エネに必要な太陽光発電パネルを建物上にすべて載せ、建物単体で『ZEB』を実現している。
第三者機関から6,000㎡以上の中規模オフィスビルにおいて初めて設計時『ZEB』認証を取得。WELL認証、CASBEE-WOをともに最高ランク取得し、省エネ性とウェルネスが高い次元で両立が可能なことを実証した。
(阿折 忠受、諫早 俊樹)
阿折 忠受(あおり・ただしげ)
三菱地所設計
1974年 岐阜県生まれ/1997年 名古屋工業大学社会開発工学科建築コース卒業/1999年 同大学大学院工学研究科博士前期課程社会開発工学修了、大建設計入社/2006年 三菱地所設計入社/現在、三菱地所設計建築設計三部 シニアアーキテクト/日経ニューオフィス賞:2021年 三菱電機ZEB関連技術実証棟「SUSTIE」、茨城建築文化賞 最優秀賞:2021年 高砂熱学イノベーションセンター、グッドデザイン賞:2022年 アントグループ本社、環境・設備デザイン賞優秀賞:2023年 高砂熱学イノベーションセンター
三菱地所設計
1974年 岐阜県生まれ/1997年 名古屋工業大学社会開発工学科建築コース卒業/1999年 同大学大学院工学研究科博士前期課程社会開発工学修了、大建設計入社/2006年 三菱地所設計入社/現在、三菱地所設計建築設計三部 シニアアーキテクト/日経ニューオフィス賞:2021年 三菱電機ZEB関連技術実証棟「SUSTIE」、茨城建築文化賞 最優秀賞:2021年 高砂熱学イノベーションセンター、グッドデザイン賞:2022年 アントグループ本社、環境・設備デザイン賞優秀賞:2023年 高砂熱学イノベーションセンター
諫早 俊樹(いさはや・としき)
三菱地所設計
1987年 神奈川県生まれ/2010年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/2012年 早稲田大学大学院創造理工学研究科建築学専攻修了/2012年 三菱地所設計入社/現在、三菱地所設計機械設備設計部 エンジニア/日経ニューオフィス賞:2021年 三菱電機ZEB関連技術実証棟「SUSTIE」
三菱地所設計
1987年 神奈川県生まれ/2010年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/2012年 早稲田大学大学院創造理工学研究科建築学専攻修了/2012年 三菱地所設計入社/現在、三菱地所設計機械設備設計部 エンジニア/日経ニューオフィス賞:2021年 三菱電機ZEB関連技術実証棟「SUSTIE」
選考評:
電機メーカーの総合研究所に建つZEB関連技術の実証のための施設。省エネと併せて職員間のコミュニケーションの活性化や快適性向上等を目指している。実証棟とあるように、さまざまな実験的試みがそのまま汎用性を持つとはいえないものの、ZEB達成のために日々苦労している者として参考になる手法が多々あった。6,000㎡規模のZEBはまだ事例が少ないと聞くが、本建物は設計値で106%、実測値で115%の省エネ+創エネを達成している。建築面では、吹き抜け空間北面の大きな窓から落ち着いた自然採光を取り入れたり、空調強度を低くした吹き抜け空間を打ち合わせスペースに活用して空調エネルギーを低減するなどの工夫が目を引く。設備面では、輻射空調などの高効率設備機器の採用に加え、主照明の照度を最低限に抑えつつZEB計算に算入されないタスク照明で必要な照度を確保する工夫は巧みである。太陽光パネルで覆われたため屋上に置けなくなった室外機は、熱負荷低減のために無窓壁とした東面に配置することで逆にメンテナンス性・更新性の向上と冷媒配管長の短縮化が図られている。
単に消費エネルギーを低減するだけではなく、健康的な環境を評価するWELL認証とCASBEE SWOのSランクも取得しており、省エネとオフィスの快適性両立を評価して奨励賞としたい。
(宮原 浩輔)
宮原 浩輔(みやはら・こうすけ)
東京都建築士事務所協会港支部、株式会社山田守建築事務所代表取締役社長
1956年鹿児島県生まれ/1981年東京工業大学建築学科卒業後、株式会社山田守建築事務所入社
東京都建築士事務所協会港支部、株式会社山田守建築事務所代表取締役社長
1956年鹿児島県生まれ/1981年東京工業大学建築学科卒業後、株式会社山田守建築事務所入社