御茶ノ水ソラシティ
大成建設
東京建築賞・第41回建築作品コンクール 東京都知事賞
建築主:
駿河台開発特定目的会社
設計:
大成建設株式会社 一級建築士事務所
施工:
大成建設株式会社東京支店
所在地:
東京都千代田区
主要用途:
事務所、店舗、大学等教育関連施設、ホール・会議室、文化交流施設、駐車場
構造:
鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造
階数:
地上23階、地下2階、塔屋2階
竣工:
2013年3月
撮影:
エスエス東京(島尾 望)、シンフォトワーク(宮本 真治)
設計趣旨:
人と街をつなぐ
本計画は、都市再生特別地区の制度を活用した施設であり、オフィスワーカーや来訪者、地域住民の方々の交流拠点となることを目指した建物です。御茶ノ水駅前に求められていた地域に開かれた広場空間を、敷地の高低差を生かした地上地下一体となった大規模な「立体都市広場」として実現しました。この広場を中心にJR、メトロ、隣接する淡路町再開発地区を有機的に結び付ける歩行者ネットワークを整備し、地域周辺のバリアフリー化にも寄与しています。建物はオフィスを中心とした複合施設です。建物の地下に地下鉄2路線が通っているという敷地条件を克服し、中間免震構造の採用、大規模な既存杭の再利用、都内最大級の太陽光発電ルーバーの設置など、さまざまな技術を取り込むことで建物計画を実現しています。正面ファサードは端正な表情を演出しつつ、神田川側の景観に対して圧迫感を与えないよう配慮した縦強調の上昇感を感じさせるデザインとしました。
(伊勢 季彦、村瀬 宏典)
伊勢 季彦(いせ・としひこ)
1966年神奈川県生まれ/1992年 東京理科大学工学部建築学科大学院修士課程修了/現在、大成建設株式会社 設計本部 建築設計第一部 設計室長
村瀬 宏典(むらせ・ひろのり)
1974年愛知県生まれ/1999年 名古屋工業大学社会開発工学科大学院修士課程修了/現在、大成建設株式会社 設計本部 建築設計第一部 シニア・アーキテクト
東京建築賞・第41回建築作品コンクール選考評:
都市再生特区を利用した開発であるので、地下鉄新御茶ノ水駅や隣接する他の大型再開発プロジェクトとの連携による歩行者動線、および駅広場の確保といった公共機能の飛躍的向上は、当然期待される。
それに対し、既存杭の活用、中間階免震、メガストラクチャーといった技術を組み合わせることで、地下鉄2路線をあえて跨ぎ建物を敷地の端に寄せて大きな空地を確保。地上地下共に都市的な広場として、稠密な環境を劇的に変革して見せているのは、総合建設業としての技術的裏付けによって初めて可能となった大胆な挑戦といえる。
さらに地域の既存の記憶要素を丹念に保存、再構成し、落ち着いた外観デザインも含めて、巨大な開発を都市という生態系に馴染ませるべくできる限りの注意を払っている。
私たちはともすると目新しい造形に気を取られるが、こうした圧倒的な技術力の組み合わせによる着実で精緻な都市機能の向上は、東京が世界レベルでの都市競争に伍していくために必須であり、高く評価したい。
(車戸 城二)
車戸 城二(くるまど・じょうじ)
建築家、(株)竹中工務店 執行役員
1956年生まれ/1979年 早稲田大学卒業/1981年同大学院修了後、株式会社竹中工務店/1988年 カリフォルニア大学バークレー校建築学修士課程修了/1989年 コロンビア大学都市デザイン修士課程修了/2011年 株式会社竹中工務店設計部長/現在、同社執行役員