思い出のスケッチ #373
マウナロアの凧屋さん
森川 浩弌郎(元YENDO ASSOCIATES INC.)
 マウナロアの郵便局の隣にある駐車場に面して、「ビッグウインド・カイト・ファクトリー」と書かれた手製のカラフルな木製看板を掲げた凧工房と、「プランテーションギャラリー」と称するお土産屋さんがあります。工房でつくった色とりどりの材料の独創的な形の凧や吹き流しが、ギャラリーの天井や壁にぶら下げてあり、外部の入口周りにもいくつもの吹き流しを吊り下げて、凧屋の雰囲気を出しています。
 ギャラリーには、世界中から集めた珍しい物やハワイの手工芸品、民芸品、装飾品、民族楽器、ドラ、ウクレレ、コイン、お札、Tシャツ、アロハシャツ、パンツ、帽子、絵、カード、写真、書籍、サーフボード、サンダル等に至るまで、ところ狭しと並べられています。
 創業者のジョナサン・ソチャーと妻のダフネは1971年にインドの僧院で出会い、世界中を歩き回った後に、1976年に彼の友人が住むモロカイ島のマウナロアに定住することを決め、プランテーションハウスを借りました。生計を立てるために、さまざまなアイデアで工芸品やその他の商品の販売を試した後、ワイキキで凧屋をみつけて凧づくりを始め、1980年に工房を設立しました。
 こうして生まれた凧は、カラフルで楽しさと創造性に富み、地元の人びとと観光客を魅了しました。ダフネの芸術感覚による複雑なデザインが特徴で、それをジョナサンの職人技が、機能的で美しい作品に仕上げています。
 工房をオープンした後、彼らは地元の小学校に招かれて子どもたちに凧づくりを教え、凧づくりへの愛着を育みました。店でも創造性を重視した子ども向けの凧づくりの教室を開いていて、そこには強いコミュニティ意識とハワイの伝統的な生活様式を守ろうとするモロカイ島の精神が結びついています。
 現在この凧屋には毎日4、50人の観光客が訪れるということです。
森川 浩弌郎(もりかわ・こういちろう)
1960年 大阪市立都島工業高等学校卒業/1960年 大阪で圓堂建築設計事務所に入所/1962年 圓堂建築設計事務所東京に移転にともない東京に移転/1966 - 1968年 圓堂建築設計事務所勤務中、中村順平先生に師事する/1991 - 1997年 YENDO ASSOCIATES INC.ニューヨーク事務所に勤務