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房前 寿明(東京都建築士事務所協会会誌・HP専門委員会、目黒支部副支部長、ユニップデザイン株式会社)
大橋ジャンクションの屋上庭園と外観。(撮影:筆者)
街の風景は次第にコロナ前の状況にもどりつつある。私の事務所でもすでに通常に戻っている。電車で通勤していたスタッフはテレワークを実施していたが、私は自宅が近くなので未経験である。自宅からの通勤途中というか事務所の前には空中を飛び交う首都高速の合流地点である大橋ジャンクションが聳えている。上空から見ると何故か心臓を彷彿とさせる。
ドーナツ状のジャンクションの屋上部には「オーパス夢広場」と名付けられた目黒天空庭園がある。地上からは階段や歩道橋からアクセスし、スロープや階段などで螺旋状に概ね一周登った先はタワマンの9階部分にある区立図書館に連結する。途中には田んぼや畑、築山、芝生広場など様々なエリアがあり、これらの背景には遥か遠景のビル群や街並が霞み都会では珍しい光景である。
時々息抜きに散策するが、地上部からは上の庭園の様子はまるで想像できない。ジャンクションという巨大土木構築物ありきの計画が故に仕方のないことだろうが。地下の高速からは1周400m程の道路を約2周回って高低差70mの空中高架へと顔を出す。従ってその地上部は約35mの高さの巨大なコンクリート壁面が露出して圧迫感は否めない。
土木と建築物とを比較することは滅多にないが、この巨大なジャンクションは旧国立競技場と同規模のヴォリュームイメージに例えられる。歩きながらそんなことを思い、新たに完成した国立競技場はこれ以上の規模かと想像してみる。依然コロナ禍にあるものの新たな段階へ進みつつある今、先行きは未だ不明であるが、本来の目的を果している来年の国立競技場もついでに想像してみたい。
房前 寿明(ふさまえ・としあき)
東京都建築士事務所協会目黒支部副支部長、ユニップデザイン株式会社
1971年 大分県大分市生まれ/1996年 九州芸術工科大学 生活環境専攻 博士課程前期 修了/1996年 仙田満+株式会社環境デザイン研究所 勤務/2003年 プロ・ジェクト、長谷山純一級建築士事務所 勤務/2007年 ユニップデザイン株式会社 設立、現在に至る
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