私の趣味 ㉖
書道
小林 志朗 (東京都建築士事務所協会参与、渋谷支部相談役、小林設計一級建築士事務所)
作品の前で。
産経国際書道会国際賞の授賞式。高円宮妃殿下の御前にて。
 初めて書道に出会ったのは、多くの方たちと同様、小学校の時でした。書道の担当の先生に丁寧に指導されたことが、書を好きになったきっかけでした。もっとも私の父も母も明治の人でしたから、環境的に、書は普通にあったと思います。その後はすっかりご無沙汰しましたが、社会人になってから、会社の書道部に誘われて、少しずつ始めたのでした。当初は転勤が多く、ほとんど稽古もできませんで、上達することもありませんでした。
 定年に近くなってから、本格的に続けるようになって、龍峡書道会に入り、理事の先生に指導を受け、展覧会に出品するようになりました。何度かの入選を経て、産経国際書道会の審査委員に認められて、書家の仲間になりました。
 一般の方は、書道というと、楷書、行書、草書、仮名、というように習っていくことが多く、展覧会の作品には、行、草交じりの漢字と、万葉仮名使いの仮名が圧倒的に多いのですが、実はそのほかにも、漢字では篆書や、隷書のものもあり、さらに印鑑の部として篆刻もあります。私も皆さん同様、楷、行、草を取り組んできましたが、ある時会報で隷書を見て興味が沸き、さらに、漢字の歴史を勉強すると、篆書や石鼓文、金文、などに手を出してみたくなりました。
 そのころ、私の高校の先輩に、近代書道界の大先達で、書道家として初めて文化勲章をいただいた、西川寧先生がおられたことを知り、先生が取り組まれた、篆隷を中心にした作品を臨書しながら、自分でも作品ができないか模索している段階です。
 一昨年(2018年)、私が加入している、燕京書道交流協会が日中友好40周年を記念して、浙江省杭州展覧会を開催したので、私も作品を出品し、久しぶりに中国にいってまいりました。この時の会合で、今や中国の書道は新字に慣れてきた若い人が古字に取り組むのが課題とされているようでした。日本の書家が古字にしっかり取り組んでいることは、大いに喜ばしいといわれました。世界の書聖、王羲之ゆかりの蘭亭など見学できて、素晴らしい旅行でした。
 さて、ここ10年ほど、渋谷支部の新年会の冒頭で、書をかいています。始まりは、前副支部長の宮岡誠穂さんの詩吟にあわせて、前支部長の瀬尾敏明さんの漢詩を書いたのですが、今は前支部事務局を担当されていらしたピアニストの宮本裕子さんの演奏に合わせて詩を書いています。
 書は一生のものです。心身ともに健康の元でもあり、令和2年で傘寿を迎えますが、まだまだ続けていこうと思っています。
小林 志朗(こばやし・しろう)号青山
東京都建築士事務所協会参与、渋谷支部相談役、小林設計一級建築士事務所
1940年 東京生まれ/1964年 早稲田大学卒業/株式会社フジタ勤務後 小林設計一級建築士事務所開設
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