千代⽥区建築技術者講習会・被災建築物応急危険度講習会
千代田支部|平成31(2019)年2⽉8⽇@千代⽥区役所1階区⺠ホール
古田 秀行(東京都建築士事務所協会千代田支部編集委員、株式会社エノア総合計画事務所)
講習会風景。(撮影:筆者)
 千代⽥区環境まちづくり部建築指導課が主催、東京都建築⼠事務所協会千代⽥⽀部が後援となり、毎年恒例の「第57回千代⽥区建築技術者講習会及び第17回被災建築物応急危険度講習会」が開催された。
今回のテーマは5部構成であった。
1. 建築基準法の⼀部改正について
 池⽥修係⻑より今回の法律案の改正概要に関し国⼟交通省住宅局の資料をもとに説明があった。①昨今の⼤規模⽕災発⽣を踏まえた建築物・市街地の安全性の確保を主眼としたもの、②空き家対策としての既存ストック活⽤を促すもの、③⽊造建築を巡る多様なニーズへの対応の必要性に基づく等のものが⼤枠として法改正の背景になっているとのことであった。
2. 既存ブロック塀の耐震診断の義務付け等について
 ⼯藤伸樹係⻑より説明があった。今年1⽉耐震改修促進法が改正され、建築物に付属する⼀定の⻑さ、⾼さを超える組積造の塀が対象に追加された。千代⽥区では、「千代⽥区耐震改修促進法」への位置づけに関して今後検討を⾏い、今年度具体的な安全対策として、⽼朽化したブロック塀の緊急調査、及び改善⼯事の助成制度の創設を⾏うことになるとのことであった。
3. 防⽕設備の定期報告について
 ⽻⿃友彦係⻑より平成28年度制度新設の経緯と具体的な検査対象設備、対象建築物に関しての説明があった。
4. 被災建築物応急危険度判定員講習
 ⼯藤係⻑よりその概要、実施状況と千代⽥区での取り組みと判定資機材等に関して、具体的な説明があった。
5. 講演:「私的」公共空間とススメ!
 関東学院⼤学建築・環境学部の中津秀之准教授の講演。中津先⽣はランドスケープ・アーキテクトとして国内中⼼に中国でも活躍され、千代⽥区景観まちづくり審議会の委員でもある。公共空間の歴史解説を具体的な国内外の事例を紐解きながら説明され、⾃⾝で設計されたランドスケープデザインの実施例をもとに、⾃然スケールの「L」→くらす!、コミュニテイスケールの「M」→つなぐ!、⾝体スケールの「S」座る! といった先⽣独⾃の設計理論を解説。また今後の千代⽥区の街づくりの⽅向性に関する意⾒を述べられた。画像による具体例を交えながらの解説でたいへん分かりやすい内容だった。
 ⽴春がすぎたとはいえ、寒波が厳しい天候にも関わらず80名を超える千代⽥区の建築技術者が集まり、熱⼼に⽿を傾けた。
古田 秀行(ふるた・ひでゆき)
株式会社エノア総合計画事務所取締役 計画設計第一部長、東京都建築士事務所協会千代田支部編集委員
1957年 東京生まれ/1979年 日本大学生産工学部建築工学科卒業/株式会社間組建築設計部を経て、2003年 株式会社エノア総合計画事務所入社、現在に至る