清水建設株式会社技術研究所見学会
中央支部|平成30(2018)年7月10日(火)
脇田 徹也(中央支部)

 
外観。(撮影:脇田 徹也)
 気温30度を上回る中、中央支部では23名が参加し、寺田宏東京都建築士事務所協会副会長のご尽力のもと、江東区越中島にある「清水建設株式会社技術研究所」の見学会を開催しました。
 冒頭、高木健治技術研究所副所長より研究所施設の概要を説明していただきました。技術研究所の設立は昭和19(1944)に宝町設計部内に研究課を設置したことに始まり、昭和47(1972)年に現在の場所へ移転しました。現在この研究所は「建設基盤技術センター」、「環境基盤技術センター」、「安心安全技術センター」、「エネルギー技術センター」、「社会システム技術センター」、「未来創造技術センター」の6つの研究開発センターで構成されています。今回見学させていただいた本館は平成15(2003)年竣工であり、平成22(2010)年にスマートビル化が行われています。
 「10年後を準備する」というのが技術研究所の役割であるという考えのもと、新たな技術と価値の創造を目指して、約200名の研究員が地震などの災害に対する安全、省エネルギーなどの環境負荷低減、エネルギー・水・食糧の安定供給、高齢化を見据えた健康・快適などの課題解決とともにロボットや人工知能といった先端技術への対応等、多方面の研究を行っているとのことでした。
 高木副所長の説明のあと、2班に分かれて本館の見学を行いました。私たちの班が最初に見学したのは、「THE WORKS」と銘打たれた清水建設で建設した建物の1/1,000の模型の展示コーナーでしたが、その展示ケースも設計部がデザインしたとのことで、ケースの脚が斜めになっており、シャープなデザインとなっていました。写真撮影ができなかったため、お見せすることができないのが残念です。
 次に見学したのが、清水建設の施工記録の展示であり、「国立西洋美術館」のレトロフィット、「国立代々木競技場」、「コクーンタワー」の施工記録を見学しました。平成20(2008)年竣工の「コクーンタワー」では3Dシステムによる「見える化」により工事を進めていったとのことでした。
最後に見学したのが「建設技術歴史展示室」で、ここには現在の基盤となる建設技術が導入された明治・大正期の技術を貴重な資料や映像で紹介しています。その中でも関東大震災による建物の被害について独自に調査を行った記録や写真は一見に値すると思います。また、木造技術や耐震技術の変遷など、建築を生業とする者にとって、新たな発見となったものがありました。
 日本のトップ企業の最先端技術を垣間見ることができ、充実した時間を過ごすことができました。参加者の一部は、その後意見交換会(懇親会)をすべく、門前仲町へと向かったのでした。
脇田 徹也(わきた・てつや)
1957年 東京都生まれ/1981年 法政大学卒業後、北野建設(株)入社/現在、同社東京本社設計部長東京都建築士事務所協会中央支部