土地家屋調査士豆知識 第5回
建築が終わったら
國吉 正和(國吉土地家屋調査士事務所)

 建築工事が完了の段階になりましたら、建物の表題登記(建物を初めて登記簿に記載する登記)の準備ということになります。
定着性、外気分断性、用途性
 では、どの程度工事が完了したら登記手続きができるのかという相談が、建築士の皆さんからも多くあります。不動産登記法における建物の用件というのは、定着性、外気分断性、用途性といわれています。
 定着性とは、土地に定着したものであること。つまりコンクリート基礎などによって建物が土地に固着していること、これは新築建物であれば問題ないと思います。
 外気分断性とは、屋根及び周壁など、外気を分断するものを有すること。つまり屋根や壁・サッシ等で囲われていること、これも一部の用途を除いて理解できると思います。
 用途性とは、その目的とする用途に供しえる状態にあること。つまり倉庫であれば設備はあまり関係ありませんが、居宅であれば設備工事、内装工事ができていることが要件となるでしょう。詳しくは、一般財団法人民事法務協会編『表示登記教材 建物認定(3訂版)』という教材書籍に写真付きで解説されていますので、参考にされるといいでしょう。
不動産登記における階数及び床面積
 建築確認における床面積と、不動産登記における階数及び床面積の算定には、少し違いがあります。たとえば、建築では、外廊下やベランダの場合、外気に有効に解放されている部分は床面積へ不参入とされていますが、登記の場合は、外気分断性がなければ床面積には参入されません。
 小屋裏や天井裏の物置などの不参入部分は、建築では高さ1.4mで考慮しますが、登記では、それが1.5mとなります。また、塔屋部分は、登記の場合、用途性がなければ階数に参入しません。ですので、建築確認の面積と登記される面積が違う場合があります。金融公庫や銀行融資の際、その対象面積に疑義が生じることがあると思います。面積確認のご相談を、土地家屋調査士にいただければと思います。
区分建物/共有名義
 親の所有建物に、単に建物を増築した場合、息子さんが資金を拠出したからといって、増築部分を直接息子さんの名義で登記することはできません。ただし、増築部分が区分建物(マンションのように建物の一部を所有権の目的とすることができる建物)としての用件を満たしている場合は、区分建物の専有部分として直接息子さんの名義とすることが可能です。
 また、二世帯住宅の場合も同様です。一棟の建物として共有名義とするのか、区分建物として一棟二個の区分建物として登記できるのか。どうしたらよいか、どのように登記を進めるのか?土地家屋調査士にご相談ください。
國吉 正和(くによし・まさかず)
國吉土地家屋調査士事務所、東京土地家屋調査士会顧問
1954年東京生まれ/1977年 早稲田大学理工学部土木工学科卒業/1981年土地家屋調査士登録
カテゴリー:建築法規 / 行政