土地家屋調査士豆知識②
建築士との接点は?
國吉 正和(國吉土地家屋調査士事務所)
 土地家屋調査士は、建築士さんの業務遂行に関係する業務部分が多くあると思います。建物を建築するプロセスに沿って、いくつかをご紹介します。

① 建築の計画をするには、その計画敷地をまず確定することになると思います。以前の建築確認の配置図、建主が保管する各種図面、住宅地図、航空写真、登記所の地図又は地図に準ずる図面(公図)、地積測量図などの資料と現地調査の結果を照合して、敷地の所在場所を確認しますが、それぞれの図面に齟齬がある場合が多く見られます。そのような場面では、土地の調査・測量の専門化である土地家屋調査士をご利用ください。
② 敷地が確認できたら、そこに旧建物が存在している場合、または更地であるが登記上建物がまだ残っている場合があると思います。その登記に第三者の権利が載っていたらどうするのか、建物の取壊しの登記(滅失登記)はどうすればいいのか、土地家屋調査士にご相談、ご依頼ください。
③ では敷地の境界は確認できますか。昨今建築に関するさまざまな手続が厳格化されています。建物の敷地の確定は、その後の手続の原点ではないでしょうか、境界標がきちっと設置されていますか、道路境界の確認はできていますか。土地の境界に関しては、一度紛争が起こると解決するにはたいへんな労力がかかります。事前に隣地の権利者等と土地の境界の確認をするべきです。土地に関する資料類について、その情報の生成過程、作成された当時の条件等について留意して分析・解析が必要となります。土地家屋調査士が最も得意とする分野です。
④ また、真北ははっきりしていますか、太陽観測等も土地家屋調査士がお手伝いをいたします。
⑤ 建築確認における床面積と、不動産登記における階数及び床面積の算定には、少し違いがあります。金融公庫や銀行融資の際、面積確認のご相談を。
⑥ 親の所有建物に、息子が増築した場合、建物の登記名義は親ですか、息子ですか、どうしたらよいか、どのように登記を進めるのか? 土地家屋調査士にご相談ください。
⑦ マンションなどを建てたとき、建物を1棟で登記しますか、若しくは区分建物として登記しますか。敷地の権利との関係や共用部分など、難しい事項があると思います。土地家屋調査士がお手伝いいたします。

 まだまだ関係のある部分はあると思いますし、土地家屋調査士と建築士の皆さんとの接点は、多岐に渡っています。一部具体的な事項は、次号以降にご紹介させて頂きます。
 われわれも、建物を登記する場合に、実際の建物の構造や使用材料、建築確認済証の具体的な床面積の算定方法など、建築士の皆さんのご協力をいただく場面が多くあります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
國吉 正和(くによし・まさかず)
國吉土地家屋調査士事務所、東京土地家屋調査士会顧問
1954年東京生まれ/1977年 早稲田大学理工学部土木工学科卒業/1981年土地家屋調査士登録
記事カテゴリー:建築法規 / 行政