建築ふれあいフェア2016
継続するふれあいの舞台
児玉 耕二(建築ふれあいフェア2016特別委員会委員長、東京都建築士事務所協会理事、株式会社久米設計取締役副社長)
 フェア準備最盛期の7月、一本の電話。「確か秋ごろにフェアやっておられましたよね、今年はいつですか」。フェアを心待ちにしている都民がいる。2カ月後フェア開幕。初日は生憎の雨。新宿西口にオープニングの和太鼓が轟くと、立ち見を含め100人を超える人の輪が囲む。その中に電話の主もいるのだろう。今年のフェアは不安と期待の中、活気に満ちて幕を開けた。
 今年のテーマは「みんなのワークショップ ケンチクする!?」。夢を描き、形にし、実現していく楽しさを体験してもらう。そこで建築に興味を持ち、建築士と友達になり、建築のファンになってもらう。テーマは実現できただろうか。模型の街づくりには子供たちが群がり、3日間で2度来てくれた小学生が数多くいた。ステージでわが街の防災を討論してくれた中学生もいた。彼らはファンになってくれたのではないか。きっと来年もフェアに来てくれるだろう。
 主催はわが東京都建築士事務所協会。準備するコアは特別委員会9人。多くの会員の協力がなければフェアは実現できない。当日協力いただいた人、支部の企画展示に奔走する人、友人家族を連れてフェアに訪れた人。関わり方はさまざまだが、多くの仲間に助けられてフェアは大きなトラブルもなく成功裏に実現できた。関係したすべての人に感謝である。
 今年で13回目。フェアは都民に根づき恒例行事となってきた。過去12回の積み重ねの上に、今年新たな確かな手応えのある1ページが加わった。子供のファンも増え、わが街に興味を深めた大人もいた。数々の新企画も生まれ、好評盛況のうちにフェアは終了した。多くの反省点はあるものの、協力推進したスタッフには、フェアの将来に繋がる一歩を踏み出せた充実感がある。都民の期待に応えて、ふれあいの舞台は更に継続発展し存在感を増していくものと確信している。
児玉 耕二(こだま・こうじ)
株式会社久米設計取締役副社長、東京都建築士事務所協会理事、江東支部
1951年宮崎県生まれ/東京大学大学院修士課程修了/1976年株式会社久米設計入社/現在、同取締役副社長/江東支部