思い出のスケッチ #371
外苑のイチョウ並木
石井 孝男(東京都建築士事務所協会賛助会員、三協株式会社)
 明治神宮外苑は、明治天皇とその皇后、昭憲皇太后を永く後世に伝えるために、全国国民から寄付金と献木、それに勤労奉仕により、「聖徳記念絵画館」を中心に各種スポーツ施設等を配置した神苑として、大正15年10月に完成しました。
 建設後約一世紀を迎え、スポーツ施設の老朽化や競技環境・観戦環境の陳腐化、気軽にスポーツを楽しむ空間不足、人びとが立ち入って緑を楽しめる空間不足、バリアフリー経路の不足等の課題を抱えてきました。
 まちづくりと公園整備を両立させる手法である「公園まちづくり制度」を活用し、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事、三井不動産の四事業者が連携して取り組んでいます。
 この絵のように四列のイチョウ並木の存続が心配です。東京都のホームページでは、複数の樹木医の意見を聞きながら、樹木の状態等を詳細に調査・公表し、設計の工夫等により極力保存または移植するなど、一本一本を大切に扱い、神宮外苑の豊かな自然環境の質の保全に努めますとしています。
 この絵は晩秋の夕方の景観を対向車線で分けて描きました。夕日が指している車線側のイチョウと車はまだ明るい光景ですが、一方別車線側は夕日が落ち暗闇かかったイチョウとテールランプの車で明暗を映し出しました。
石井 孝男(いしい・たかお)
東京都建築士事務所協会賛助会員、三協株式会社
1967年 東京都立大学大学院工学研究科土木工学専攻修了後、日本道路公団入社/東海大橋・東名阪(基礎三川)橋・若戸大橋拡幅・東名改築等に携わる/1993年 同公団退職、石川島播磨重工業入社/1994年 東京都立大学大学院博士(工学)の学位授与/1995年 武蔵工業大学非常勤講師、2006年IHI退社/2009年三協(株)入社、現在に至る