今回のまち歩きは、東京を飛び出して岩手県のほぼ中央の金ヶ崎町に行ってきました。中尊寺金色堂で有名な平泉の2駅ほど北の駅と北上川の間にある伝統的建造物群です。江戸時代の侍屋敷は茅葺き屋根で主屋、馬屋、厠と畑があり、平成の時代まで住み続けられていました。現在は保存公開されていて、中には江戸時代から続く築山庭園を眺めながら食事もできる古式ある木造建築もありました。
重伝建地区にはいろいろな小路地があり、まだ公開されていない家も多くあります。時代劇さながらの砂利道で傍らには、せせらぎのある黒トンボが飛ぶ小路や自動車の通る生活道路もあり、歴史の中から現代にタイムスリップしたか、別世界に迷い込んだかのようなまちあるきが体験できました。
まちなみみだけでなく、公開されている建物や案内所のみなさんがとても丁寧に街の歴史や名所、建物の経緯とか説明してくれて、200年近く人びとが生活している建物の中でのひと休みは、とても居心地のいい空間と素晴らしい時間を感じました。
近くに「歴史公園えさし藤原の郷」という平安時代の建物を再現したテーマパークもあります。語り部による歴史考察も面白く、地方豪族と中央から派遣された国使のこと、時の権力者、平清盛、源頼朝、義経らの妻や母の事や結婚による家同士のつながり等を教えてもらえます。さらに時代をさかのぼった建物やまちなみも体験できます。
建築を設計監理している者として、自分の建てている建物が何年残るのだろうか？ と考えると、改めて計画設計と建物点検、維持管理の大切さ考えさせられながら、太古からの時間の流れの中で都会では味わえない空気を感じての、のどかなまち歩きでした。