何が仕事のストレス? その対策はどうする?
前回に引き続いての内容です。現役世代のストレスの原因が仕事だったとして、具体的にどんなことが仕事のストレスとなるのでしょうか。
これは大きく分けて以下の3つとなります。
1. 仕事の量(残業時間や休日日数など)
2. 仕事の質(さまざま。業界慣習など避けられないものも)
3. 人間関係(ハラスメントなど)
この3つのうち、どこから手を付けるべきかは、自社の状況により大きく異なります。
建築士のお仕事では、長時間労働が常態化している所も多いでしょうから、そういった場合は仕事の量の是正が最重要となるでしょう。
残業管理は一定程度進んでいるけど、特定の部署で人がよく辞めていて…、といった場合は人間関係、典型的には上司のハラスメント対策を進めたほうが良いかもしれません。
仕事の質の改善は業界的な慣習や、それも含めた顧客への対応調整など比較的大掛かりになりがちです。
ですが、もしも改善することができれば、非常に大きな効果が期待できます。
ここでは、おそらく一番多いであろう、仕事の量の問題について述べたいと思います。
仕事の量は、客観的な数字での管理ができるため、管理のしやすさやコンプラ対策としても非常に有効です。
具体的な基準などは顧問社労士などに確認・相談していただくのが御社の実態に沿っているかと思いますが、1カ月80時間を超えるような残業や、14連勤を超えるような休日出勤、睡眠時間が6時間取れなくなるような終業時間→始業時間(インターバル)の短さは、負担としてはかなり重いものになります。
労基署がやってきたときに是正勧告が出やすいレベルでもありますから、法律上もぜひ意識していただけるとよろしいかと思います。
不調者が発生した!どうしよう…
まずは、病院を受診させることを第一に考えましょう。一部の会社では、時短勤務や仕事の巻取りなどの労務管理などでなんとかしようとする傾向が見られますが、会社の人が気付くレベルの体調不良では、既に相当程度症状が進んでいることが多いです。
本人は「大丈夫です」と主張することも多いですが、そういった人だからこそ、会社への相談が行われずに症状が進んでいる、と考えることもできます。
最近では口コミが良いような精神科・心療内科のクリニックは初診予約が極めて取りづらい事が多いため、受診ができるようになるまでは労務管理で何とかすることも良いと思いますが、その効果はこれ以上の悪化を食い止める程度に留まるだろう、くらいの心持ちの方が良いと思います。
本人のこれまでの勤務状況や見て取れる体調等によっては、勤務を免じて(給料は一部または全部を払って)受診まで休んでもらうのも有力な選択肢です。
その後は、受診した医師の判断(診断書など)や、社内ルール(就業規則など)との兼ね合いになりますが、必要であれば休職させる、大丈夫そうならある程度の配慮を継続した上で働かせる、などの対応になってきます。
こういった対応についても、悩むようであれば顧問社労士や産業医などにぜひご相談いただければと思います。
市原 剛央(いちはら・ごお)
医師・医学博士・産業医・社会保険労務士・労働衛生コンサルタント・パワーハラスメント防止コンサルタント認定講師 他、労働衛生関連の資格多数。産業医として都内を中心に20社以上の健康管理を行っている。労働法への関心が高く、社会保険労務士試験にも合格し、登録している。安全衛生委員会の立ち上げから労基署対応、有害物質対応、健康経営へのアドバイスなど、企業ニーズに合わせて様々なアドバイスを行っている。